台湾、5年連続WHAの参加を果たせず〜世界各国からの支持が続出

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WHOの年次総会(WHOツイッターから)

第74回世界保健総会(WHA)が5月24日より開催された。新型コロナ感染対策において、世界各国に先駆けて「規範」となる取り組みを実施した台湾だが、中国からの圧力を受け、5年連続してWHAへの出席がかなわなかった。しかし大会に参加に向けて台湾が示した足跡は、日本はもとより、欧米から外交支持される結果となった。

第74回世界保健総会(WHA)は5月24日にスイスのジュネーブで開かれた。台湾外交部はこれに先駆けて「参加に向け最後まで戦い続ける」との立場を強調が、中国の強圧で5年連続して参加できない事態に至った。だがこの期間に先進諸国からの応援は無視することができない。英ロンドンで行われたG7外相会合は5月5日に共同声明を発表し、2006年以来初めて台湾問題を言及し、世界保健機関(WHO)への台湾の参加を支持した。これを受けて日本外務省は4月27日、「2021年度外交青書」を発表した。本書では台湾を「基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人である」と記し、2020年度に引き続き台湾のWHOとWHAへの参加に「支持の意向」を示した。

WHO総会会場の外にたてられた「台湾は助けることができる」と書かれた看板(写真提供:中央社)

さらに菅義偉首相は5月21日、イタリアとEU共催の「グローバル・ヘルス・サミット」にビデオメッセージを寄せ、世界保健機関(WHO)へ台湾をオブザーバー参加させる事を念頭に「国際保健課題への対応にあたっては、地理的空白を生じさせるべきではない」と述べた。

米国も早期から「台湾を国際組織に参加させる」と訴えた。米両議院が4月27日からSNSで発信した「#LetTaiwanHelp」イベントは50カ国と繋ぎ、計250人以上の各国国会議長、議員の支持を得た。台湾外交部は自らのSNSで謝辞を表した。さらに、米国務長官ブリンケン氏は5月7日、台湾をWHAに参加させる声明を発表し、中国外交部から猛反発を受けた。台湾衛生福利部長陳時中氏は5月8日の取材に応じ、世界各国からの支援に感謝の意を示した。

一方、欧州からも台湾への支持が動き出した。5月6日、フランス参議院は304対0で「台湾の国際組織への参加に支持」を可決した。台湾対フランス窓口「駐フランス台北代表処」はこれに対し、SNSで「ありがとう」「台仏友好」と発信した。また、5月13日、欧州連合(EU)議会の「フォルモサ・クラブ」が欧州30カ国計1084人の議員を集め、WHOのデトロス事務局長に公開状を送り、台湾のWHA参加を呼びかけた。台湾外交部はホームページで感謝した。

なお、台湾がWHAに参加できなかったことに対し、米国をはじめとする先進諸国はWHAで発言し、台湾のWHA参加が「有意義である」と改めて強調。「台湾支持」を表明している。