台湾で5月中旬から感染が拡大~強化措置講じる

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新型コロナの感染拡大で、繁華街である西門町の人通りが激減した(写真提供:中央社)

台湾で新型コロナウイルスの感染拡大が5月中旬から急拡大しており、感染者数はこれ以降の2週間で増え続けた。5月31日時点で新たな感染者は274人に達した。当初、5月28日に解除する予定だった「全国警戒レベル3」も6月14日までの延長を決めた。現在は、打開策としてワクチンの確保と接種を働きかけているが、感染抑止などの見通しは不透明だ。

台湾はこれまで、厳格な水際対策により新型コロナの感染拡大を封じ込めてきた。今年の5月中旬までは、海外からの入国者が感染者の大半を占めていたが、中華航空や台湾桃園市のホテルでクラスターが発生。その後、宜蘭県のゲームセンターのクラスターで感染源不明の域内感染者が6人出たため、台湾中央防疫センターは5月11日強化措置を取り、新型コロナウイルスへの警戒レベルを「レベル2」に引き上げ、感染拡大防止措置を発表した。

しかし、その後も感染源不明の感染者が続出。中央防疫センターは5月15日に緊急記者会見を開き、域内感染者が新たに180人確認されたことを公表。台湾北部の新北市、台北市での警戒レベルが5月15日から28日までの間「レベル3」に引き上げられ、さらに同19日より台湾全土に拡大された。

蔡英文総統は5月15日、自らのSNSで「団結」を呼びかけ、日常用品の買い占めをやめようと呼びかけている。一方、台北市と新北市は5月17日、学校内のクラスターを避けるため、同18日より28日まで高校以下各学校を休校すること決定した。台湾中央防疫センターは同18日、台湾全域の学校を休校すると発表した。さらに、居留証がない外国人を対象に、同19日より約1ヶ月間の入国停止措置を発表した。

ワクチン対策と各国からのエール

台湾は、感染拡大防止の打開策としてワクチンの確保に努めている。台湾が主に使用するワクチンは英アストラゼネカ社製。すでに接種を受けた人は5月24日までに30万人を超えたが、その大半は1回目。台湾中央防疫センターは同27日、「米モデルナワクチン15万回分が台湾に到着し、8月末までに約千万回分のワクチンを確保した」と発表した。

その一方で、台湾ではワクチンをめぐり激しい論争が繰り広げられている。中国が台湾にワクチン寄贈の意向を発表したが、陳時中総指揮官はこれに「中国製ワクチンに高いリスク」との見方を示した。

なお、台湾の感染拡大を受け、各国の駐台代表が台湾向けにエールを送っている。日本の対台湾窓口機関・日本台湾交流協会の泉裕泰代表は5月22日、公式フェイスブックで「日本は台湾がWHAに参加することを支持します」と述べ「きっとこの危機も乗り越えられるものと信じております」と発信した。このほか、米国、英国、豪州、シンガポールなどの駐在使節からも次々とエールが送られている。