日本政府は6月3日、新型コロナウイルスの感染が広がる台湾に対し、日本国内供給用に調達した英アストラゼネカ製のワクチン約124万回分を提供すると決定した。ワクチンを積んだ輸送機は6月4日にも台湾に到着する。日台の相互の助け合ってきた事を踏まえ、日本政府は緊急措置として支援を決めたもの。
菅首相は6月2日の「ワクチンサミット」で、ワクチンを共同購入・分配する国際的枠組み「COVAX(コバックス)」などを通じ、3000万回分を海外に提供すると表明していた。台湾にはコバックスを通さず直接供与する。
ワクチン提供は台湾側から日本側に水面下で打診されていたとされるが、日本政府はワクチン支援を「国内の災害時の支援への返礼」と位置付けている。これまで、提供量や時期などを台湾側と調整していたが、ア社製ワクチン約124万回分を送ると決めた。
日本政府はアストラゼネカ製について、年内に1億2千万回分(6000万人分)の供給契約を結んでいる。ただ、接種後、まれに副反応が生じる事例が海外で報告されているため、当面は公的接種の対象外としている。 さらに、米製薬大手ファイザーのワクチンを年内に1億9400万回分(9700万人分)、米製薬会社モデルナ製を9月までに5千万回分(2500万人分)契約しており、ア社製ワクチンを台湾に提供しても日本国民への接種に影響はない見通しと判断した。
台湾では、感染が急拡大する中でワクチンの早期調達が喫緊の課題となっている。蔡英文総統は5月26日、一部の海外製薬会社からのワクチン購入に関し、中国の介入で今も契約できていないことを明らかにした。