WHO西太平洋地域委員会に台湾参加の意見書提出~鎌倉市議会

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議長と提案ならびに賛同議員

 神奈川県鎌倉市の鎌倉市市議会はこのほど、世界保健機関(WHO)西太平洋地域委員会への台湾の参加を求める事に関する意見書を、日本政府及び国会に提出した。第72回のWHO西太平洋地域委員会のホスト国は日本で、今年10月25日より29日までの日程で兵庫県姫路市で開催される。意見書はこれを前に9月29日、鎌倉市議会日台友好親善連盟会長(松中健治会長)の発案で提出議員5人賛成議員3人の計8人の連名で作成した。

世界保健機構(WHO)西太平洋地域委員会に西太平洋に属する台湾(中華民国)はこれまで参加が実現していない。台湾の参加の意見書は、志田一宏議員(自民党)、大石和久議員(公明党)、岡田和則議員(立憲民主党)の各党所属の議員はじめ、長嶋竜弘議員、くりはらえりこ議員、久坂くにえ議員、千一議員らが提出議員、賛同議員として署名し、全会一致で可決した。なお、文案は神戸市会議員の上畠寛弘前鎌倉市議が立案した。

世界保健機関(WHO)西太平洋地域委員会は、日本を含む西太平洋地域に所属するWHO加盟国(37の国・地域)の年次総会であり、域内加盟国及び地域の代表者により構成され、域内の保健福祉水準の向上のための対策などについて議論される。加盟する37の国・地域には、香港 やマカオ、グアムや北マリアナ諸島などが参加しているが、同じく西太平洋地域に属する約2360万人の人口を有する台湾については参加が実現していない。台湾には日本人24280人(2018年外務省発表)が滞在し、日本と台湾の間を往来する旅客はコロナ禍以前で延べ710万人を超える。また、鎌倉市においてもコロナ禍以前は多くの台湾人が訪問しており、新型コロナウイルスの沈静化が進めば再び多くの台湾人の訪問が期待される。

鎌倉市議会本会議で議案説明する松中健治議員

台湾は航路、金融、観光、産業、貿易などの面でハブとしての機能を持ち、台湾を離着陸及び経由する旅客者数約6900万人の存在する事を踏まえると、WHOをはじめ、国際機関に台湾が参加できない事地理的空白の発生を許す事にもなる。日本、台湾だけにとどまらず全世界の人々の健康を脅かしかねない。

鎌倉市議会は、これまで平成28年9月に「台湾の国際 民間航空機関(ICAO)など国際機関・国際連携への正式加盟・参加 について支援を求める意見書」を可決し、令和2年3月に「台湾の世界 保健機関及び国際民間航空機関の正式加盟を支持し、必要な支援を求める意見書」を可決している。また、参議院においても「世界保健機関(WHO)の台湾への対応に関する決議」が可決されているが、いまだ台湾の世界保健機関への参加は実現していない。

こうした背景により、兵庫県姫路市で開催される世界保健機関(WHO)西太平洋地域委員会に台湾の参加を実現させ、人類福祉の向上に資するためにホスト国である日本国として必要な措置を講じる事を日本政府並びに国会に対して求める、とした。