台北駐福岡経済文化弁事処の陳銘俊処長は10月1日、新処長に就任した。福岡県豊前市の後藤元秀市長に表敬の挨拶のため10月4日、市長室を訪問して会談した。この日は豊前市議会議員らが発足した「豊前市台湾友好議員連盟」の設立総会が行われたため、式典に来賓として福岡県に来ていた、世界華人工商婦女企管協会日本分会錢妙玲会長、大阪中華学校陳雪霞校長と横浜中華学院理事会秘書長馮彥國も同席した。また、同処前処長の陳忠正氏も同席して懇親を図った。
後藤市長は「台湾のサテライトキャンパスの設立により、大学4年の履修の1年を豊前で可能にしたい。誰も考えていなかった事です。施設は大いに利用してほしい」と話した。また、「将来は豊前市の中学生全員を台湾に送り込んで教育面での交流をより充実させたい。市独自の補助金をつける覚悟です」との考えも飛び出した。一方で「豊前にも週末には台湾の夜市を模倣した場所がある街作りをしたい」と述べ、「大都市圏ではできない地方間独自の交流の仕方がある。自然にふれあえる地方同士の絆も可能。若い人の交流の底上げにも尽力したい」と結んだ。
一方、陳処長は「一握りの政治家が中国に遠慮してか何もできない。人権、道徳、民主化に傾斜しているのが最近の台湾です。私は10月1日に新任の処長となりました。日本の政治を任せられる政治家を探すのが私の責務です。昔は鹿児島に西郷隆盛氏がいました。人望があり勇ましい武士でした」と持論を展開した。また「昔は台湾での日本語教育は大学生の時。いまは高校生でも日本語の授業頻度は多くなっています」と台湾の実情を説明。最後に中国から台湾産の果物の輸入停止措置に触れ「バンレイシ(釈迦頭)は美味しい。日本に是非広めたい」と述べた。
懇親は終始和やかな雰囲気で進行し、最後は日台の関係がさらに発展するように協力体制を進めていくことを約束。同席した陳校長は教育分野での情報交換を、錢会長はビジネスでの交流促進に向けた懇親が図られた。
豊前市と台湾との関係性は2020年の6月、豊前市議会が台湾のWHOへオブザーバ参加を認めるよう、日本政府が働きかける事を要請する意見書を採択した事に始まる。当時の陳忠正処長は「このご恩は忘れません」とし、その後台湾の大学分校設置の構想が開始された。
そして今年の7月20日には台湾の大学のサテライトキャンパス(分校)を豊前市内に設立する連携協定を締結した。台北駐福岡経済文化弁事処立ち会いの下に8月20日には、オンラインにより、台湾の私立科学技術大学校院協進会(加盟66校総学生数約43万人)との間で連携協定を締結した。