台湾南部屏東県(潘孟安県長)のナツメ(中国語=蜜棗)生産量は台湾で2位。潘孟安県長と同県出身の周春米立法委員はこのほど、同県高樹郷の農会で開かれた日本向け輸出の記者会見に参加。高品質なナツメの海外市場開拓に向け、ナツメの梱包やコンテナへの積み込みを行った。潘孟安県長は「生産農家が技術的な問題を克服して日本向けの輸出が円滑になっている」とし、2022年度の輸出量が昨年比で倍増の20トンに期待を寄せた。
屏東県のナツメの栽培面積は557ヘクタール(ha)で生産量は台湾で2番目。シェアは30%を占める。主な産地は高樹郷と鹽埔郷で、そのうち高樹郷は栽培面積321ヘクタールで台湾随一のナツメ生産地。屏東県では近年、多様な販路の拡大に積極的に取り組んでおり、海外への販売にも力を入れている。同県産の2021年のナツメの輸出量は約257トンで輸出金額は1,900万台湾元(約7,800万日本円)に達している。
高樹郷農会の謝朝景総幹事によると「数年前から対日輸出に挑戦し、2021年の販売状況は悪くなかった。日本向けの販売ではあらかじめ低温処理して検疫にパスしなければ輸出が出来ないが、屏東県のナツメ農家は栽培技術を高めてナツメの鮮度を保っている」と話した。
潘孟安県長は「県内の生産農家が栽培技術の向上に努力しています。その例として過去に台湾農業界の最高栄誉「神農奨賞」を受けた農家「潘志民」さんが1.2haに及ぶ強化型ビニールハウスを建て、ナツメの品質と生産量を厳格に管理しています」と説明した。今回日本に輸送するナツメ約1.25トンは、まず低温処理に送り果実の中心温度を1.2℃まで下げてそれを14日間維持する。そして検疫に合格してはじめて直行便で日本のスーパーマーケットの販路や卸売市場に送られるのだという。潘県長はまた「日本に送るには日本側の薬剤使用ルールに従わなければならないが一部の薬剤は台湾で使用が禁止されているため、台湾の農家は技術的なネックを絶えず克服する必要がある」と指摘。一方で「日本向けのレベルに達した果物は価格の上で生産農家により多くの利益をもたらす」と説明した。
現在、産地での日本への卸売り価格は1キロ当たり120台湾元から150台湾元(約490日本円から620日本円)で、国内で販売した場合の1キロ80台湾元から100台湾元(約330日本円から410日本円)より高い。日本での小売価格は6,500日本円から8,000日本円になる事もあり、潘県長は「品質が良ければ値段も上がる」と話している。