動き始めたTSMC熊本プロジェクト

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ソニーの半導体工場 (上)に隣接して造成中のTSMC工場予定地(下)

世界的な半導体不足に対応して日本政府が4,000億円以上を助成して熊本県菊陽町に立地が決った台湾積体電路製造(TSMC)、SONY、デンソーなどの合弁事業(通称「TSMC熊本プロジェクト」)の立ち上げに向けた準備が色々な形で動き始めている。

九州経済産業局(後藤雄三局長)の「九州半導体人材育成等コンソーシアム準備会」の開催、熊本大学(小川久雄学長)の「半導体研究教育センター」の概要発表に続いて、TSMCとソニーグループの合弁会社「ジャパン・アドバンスト・セミコンダクター・マニュファクチャリング(JASM)」の堀田祐一社長が「熊本県企業誘致連絡協議会(慶児幸秀会長)」の会合で講演し、工場建設を今年4月に着工し、2023年9月までに完成させる計画を明らかにした。

JASMの計画では約21.3ヘクタールの場所に従業員1700人規模の工場を建設し、24年12月の出荷開始を見込んでいるという。1700人のうち台湾からの技術者受け入れは約300人で、残りはソニーなどからの派遣や新規採用とする。

半導体の製造には、非常に多くの材料や設備が必要であるために、関連産業の製造、サービス、物流拠点の進出を考慮すると、実際にはこれ以上の人々が一定のエリア内で働き生活するものと予想される

このため、様々な生活インフラ、社会インフラの整備が必要と考えられるが、まだ詳細が公表されていないため、熊本県では、当面は「工場周辺の交通渋滞解消」と「台湾から来る技術者の子弟教育のための環境整備(例えばインターナショナルスクール設立)」の2点について、発生する課題を予想し、解決策の検討に入ったところだという。

熊本県商工労働部・企業立地課へのオンラインインタビュー(3月8日)

交通渋滞の解消については、工場予定地の西側に新たな道路を通す計画が始まっている。これは、TSMC進出決定の前から決まっていたものを今回の計画にともなって加速させる。またかなり前に検討されていた阿蘇熊本空港とJR豊肥本線三里木駅をレールで結ぶ案をTSMCの進出を踏まえてルートを見直して復活させることも浮上している。

インターナショナルスクールについては、本当に台湾の技術者がそれを望むのかどうかや、台湾からの派遣方針が一過性で終わるものでないということの計画が見えなければ難しいという意見も上がっている。

また、「熊本県企業誘致連絡協議会」に興味のある人には、これを機に入会して意見やアイディアを寄せてもらうべく、下記に問い合わせの門戸を開いているとしている。

連絡先(入会申請書請求先):熊本県商工労働部産業振興局企業立地課
電話 096-333-2330  FAX 096-385-5797
様式提出後、幹事の承認を経て入会へ。
年会費一口50,000円