中国共産党第20回党大会は10月16日から同22日まで北京で開催された。異例の3期目任期が実現されている習近平総書記は開幕演説を行い、台湾問題について「決して武力行使を諦めない」と脅威した。
5年に一度の共産党大会が今年で第20回の大会を迎え、9300万の共産党党員を代表する約2300の党員は北京に集まった。開幕演説で習近平総書記は過去10年間を自画自賛した。
その中、台湾問題について習氏は「台湾問題は中国人自身の問題だ」と話し「決して武力行使の放棄はしない。祖国の完全な統一は必ず実現しなくてはならず、また必ず実現できる」と主張した。また今大会では「反台独」がはじめて共産党の党章に記入され、世界中に注目を集めた。
北京当局の動きは、今月初米国中央情報局(CIA)バーンズ長官はメディアの取材に「中国は2027年まで台湾を侵略する恐れがある」の主張を想起させる。米国の判断に対し、台湾の邱国正国防部長(防衛相相当)は立法院で「この可能性について否定できないが、我が国軍はいつも戦備を整えている」と答えた。
共産党大会の発言を受け、台湾総統府の張惇涵報道官は同日に「民主主義と自由は我々台湾人の信念で、中国政府の『一国両制度』を拒んでいる」と声明を出した。またこの声明では蔡総統が双十節の演説内容を引用し「台湾は理性的かつ平等、お互いに尊重し合う形で、両岸の平和と安全維持の方針を北京当局とともに探すことを期待している」とコメントした。
習氏は前の江沢民政権と胡錦濤政権の慣例を反して3期目の任期へ動き出した。これに対し、中国では習氏を批判する横断幕が飾られ、習氏の権力集中を強く反発したが、当局によりすぐさま撤去され、ネット上でも議論を禁止した。
また今回の大会では異例な事態が展開されており、22日の会議中に前主席の胡錦濤氏が途中で退席させられた一幕があった。共産党の実権を握る最高指導部メンバーの7人にも習氏の側近とされる人物だけが選ばれ、党内における習氏の「一強体制」がさらに加速しそうだ。
中国研究を専門する台湾政治大学の東アジア研究所は25日に研究会を開催し、中央研究院の蔡文軒教授は「過去の最高指導部メンバーは共産党内各派がバランスを取って決めるが、今は習氏への忠誠心で決める」と説明し「まるで文化大革命の前だ」と語った。東アジア研究所の王信賢教授は今大会の公式報告書を解読し「内容では米国を言及しなかったが、米国との争いを意識している」と説明した。