中国への訪問を終えて帰国したフランスのマクロン大統領は、緊張が高まる台湾情勢を巡り「欧州は米国の戦略に追従すべきでない」との認識を示した事が4月9日、判明した。
仏経済紙レゼコーを始め、仏大手新聞紙は同日、復路の専用機でマクロン大統領のインタビューを報道した。マ氏は台湾問題について「我々の危機ではない」とした上で「欧州は目を覚まさないといけない。ほかの地域の危機は我々の要務ではない」と語った。また、中国が台湾周辺で行う軍事演習の実施については「総統は『せめて私たちが中国を出発した後に展開するのはありがたい』」と報じた。この発言が波紋を呼んだ。
マ氏の発言を巡り、ネット上では「マクロンニンーグ(Macroning)」という新たな単語が作られ「自分だけが中国への信頼を深めている中にも欧州の盟友を説教し続ける」との意味で、多数の政治家と専門家から批判されている。
これを受けて台湾メディアは、こうした諸問題を取り上げ大々的に報道した。SNSでは「この方は何を言ったのですか」「裏切られた感じ」「甘すぎるのでは?」など、マ氏に批判が殺到している。
一方、中国の官営メディア「新華社」は「我々はいつも欧州を多極化世界の一つの極として振る舞うことを支持し、欧州は誰にも追従しないことを信じている」と、マ氏の発言を評価した。
4月5日から3日間、中国を国事訪問したマクロン大統領。中国によるロシア、ウクライナ戦争の調停を求めているほか、中仏両国の経済連携やインド太平洋地域での中国の影響力の拡大など、意見を交換した。