烏山頭ダムで八田與一技師没後81周年墓前祭を開催

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来賓席(左:台湾席、右:日本席)

5月8日に台南市の烏山頭ダムで、日本統治時代にダムと嘉南大圳を建設した八田與一技師の「没後81周年墓前祭」が開催され、台湾側から頼清徳副総統、黄偉哲台南市長ら、日本側から技師の孫にあたる八田修一氏、技師の出身地である金沢市の村山卓市長、宮元陸加賀市長(日台共同首長連盟会長)、日本台湾交流協会高雄事務所・奥正史所長らが出席した。

ここでは、日本李登輝友の会福岡県支部の出席メンバーから、そこで受けた感動の様子を伝えてもらった。

墓前祭は、前日まで続いた激しい雨が夜明け前にすっかり上がった快晴の清々しい空気の中で執り行われ、僧侶読経、遺族参拝、八田技師を偲ぶ映像の放映をバックにした芸術大学学生の合唱、主催者挨拶、日本側と台湾側の来賓挨拶、参会者の参拝など一連の行事がスムースに進んだ。

祖父・八田與一技師の墓前に手を合わせる修一氏

 僧侶読経と遺族参拝に続いて「行政院農業委員会農田水利署」が制作した烏山頭ダムと嘉南大圳の建設の過程示す動画をバックに芸術大学の学生が合唱し、先人の偉大な功績に花を添えた。

芸術大学・学生の合唱

 合唱が終わり日本側の来賓として挨拶に立った加賀市の宮元市長は、台湾と日本は同胞であり、運命共同体であること。台湾無くして日本無し、日本無くして台湾無しの状態にある両者が更に強固な関係を築くためには、日本の地方首長で作る日台共栄首長連盟を基盤として台日友好意識を国民運動にする必要があることを説き、「これから台湾の自治体に両国関係を強化する運動を呼び掛けたいのでぜひ参加してほしい」と熱のこもった訴えを行った。

加賀市の宮元市長

 次いで台湾側から挨拶に立った黄・台南市長は嘉南大圳の管理機関に勤務していた祖父の黄濱田氏が写った写真を最近友人から受け取ったこと。その写真には「八田技師の遺業を維持して運営する人たち」と書かれていたこと。そして今日ここに出席している八田技師の孫の修一氏にそのコピーを手渡したことを披露し、「当時の台湾の水利界で大きい貢献をしたダムの設計者と管理者の孫同士がここで出会えたことに深い感慨を覚える。これをご縁に、台日関係を大切に続けていきたい」と述べた。さらに「来年は台湾開拓400年となり、多彩なイベントが計画されているので、ぜひ協力願いたい」と要請した。

黄・台南市長

 最後に、台南市長時代を含めて13回連続で墓前祭に参加している頼副総統が挨拶に立ち、まず八田與一技師とダム並びに大圳建設に携わった日本と台湾の全ての建設作業員の貢献をたたえ、農業用水からスタートした水が今や生活用水のみならず半導体製造を含む工業用水として台湾経済の発展に大きく寄与していることに感謝の気持ちを表した。

13回連続で墓前祭に参加している頼副総統の挨拶

 その上で、烏山頭ダムが1959年に台湾中南部で起きた『八七水災』や1999年9月の大地震『921大地震』など大規模な自然災害も乗り越えたことへの品質を称えるとともに、今や台湾と日本の友情が交流する重要なプラットフォームになり、双方が家族のような感情を持つようになっているとの感謝を述べた。

 さらに、安倍晋三元首相が「台湾有事は日本有事」と明言したことに触れ、平和には力が必要であり、力は団結してこそ大きくなる。団結の力は烏山頭ダムのように世代や国境を越える。みなが互いに協力すれば地域は自然と平和になり安定するだろう」と述べて大きい拍手を浴びた。

 しかし何と言ってもこの日の主役は八田與一技師の長孫である修一氏で、スピーチの冒頭で大きい声で大家好(タケホー!)と台湾語で切り出したり、台湾の人々への深い感謝の言葉が参列者の共感を呼び、墓前祭終了後もあちこちで記念撮影への要求にこたえていた。