江戸時代の下町として知られている浅草。雷門、浅草寺、着物体験、人力車観光など、遊べば遊ぶほど楽しくなる場所である。雷門に入って仲見世商店会との交差点を左折して約5分間歩くと、右側に「東京豆漿大王」がひっそりとたたずんでいる。
「東京豆漿大王」とは
今年3月31日に新開幕した台湾式朝食屋「東京豆漿大王」。台湾料理といえば、日本では「中華料理の一つじゃないのか」と思ってしまう方は多いだろう。無論、台湾は中国のすぐ隣に位置しており、歴史的、地理的なことを考えてみれば、台湾の飲食文化は中国に強い影響されているが、そうとは限らない。
台湾は中国、日本を始め、いろいろな文化を取り入れて、自らの文化を生ませるのだ。
東京豆漿大王は、本格的な台湾式の飲食文化を、そのまま東京の下町に再現するお店だ。
「眷村」を想起させる内装
お店に入ると、一番印象的なのは台湾の「眷村」を思い出す内装。眷村とは、1949年から中国内戦で台湾へ移住した軍隊とその家族が住んだ集落。眷村は閉鎖的な社会で、独自の文化を有していた。
そこには台湾人であればお馴染じみの風景がある。ステンレス鋼の机と椅子がそれだ。観光で台湾を訪れる際に、台湾の屋台や飲食店でよく使われている席から、一瞬で台湾に戻ったと気がする。しかも日本でも話題になった台湾伝統的な笠と袋が飾られており「懐かしいなあ」と思ってしまった。
台湾朝食店ならではの風景
台湾の朝食屋さんに行けば必ず見たことある鉄板が、この店の店頭に置かれている。注文方法も台湾のお店と同じ、メニューを持って自分が頼みたい料理にマークを付ける。開放的なキッチンのため、料理している姿を間近に観ることができるのも醍醐味だ。
鉄板の上でお餅と玉子を焼くと「ズーズー」のいい音が聞こえてくる。台湾にいた頃の「朝食屋」を思い出させた。台湾式おにぎりは、熱々のごはんにお漬物、油条、肉鬆などの材料を入れて巻く。
お店のほとんどの食材は台湾から輸入されている。「もちろん台湾と日本は近く、日本でも同じ食材がありますが、やはり味は変わりますね」と、店長の何さんが言った。味をそのまま再現できるように、油条から調味料まで、すべてのものが台湾製となっている。
台湾新聞の食レポ!これだったら間違いない!
今回頼んだのは、アイスの豆漿(砂糖抜き)と台湾式おにぎり。店員さんに制作過程の撮影はできるかと聞くと「快諾」をもらった。
台湾のおにぎりといえば、形は店によってそれぞれだが、東京豆漿大王では棒状だった。そしてごはんに粘りがあるかどうかはとても重要なポイントで、こちらのおにぎりは、ひと口にするとごはんの香りが強く、ちょうどいい粘りを感じた。お漬物、油条、肉鬆の食感と味が混ぜてあり、ごはんとはぴったり。しかもボリューム満点で、一つだけでお腹がいっぱいになった。
豆漿には砂糖抜きで甘みがないが、濃厚で柔らかく、スムーズに飲むことができる。おにぎりの脂っこさを完璧に中和させる。
近年、日本では中華料理の概念を超えた、新概念の台湾料理屋さんが次々と開幕している。東京豆漿大王では、本格的な台湾式朝食が揃っており、日本在住の台湾人に評価されている。話を伺うと、これからも新しいメニューの開発を進め、「夏期は台湾の氷などもメニューに入れます」との情報も。
本場の台湾の味を試してみたいと思う方は、是非東京豆漿大王に行ってみてください。