台湾政府は7月11日、米国が台湾に対し、生物兵器を開発するよう圧力をかけたとの報道について「いかなる生物兵器の開発、製造計画もなく、ありえない」と報道を力強く否定した。
台湾大手の新聞報道に政府が批判
台湾の大手新聞紙は同9日付で消息筋の話として「米国が台湾国防部予防医学研究所に対し、秘密裏にウイルス開発能力を構築し、生物兵器を開発するため、致死率が高い病原体を扱える『バイオセーフティーレベル(BSL)4』の新型施設の建設を求めている」と報じた。
この報道に対し台湾国防部は「報道は事実ではない」と否定。「予防医学研究所は感染症の病原体の検知や防護、治療を主な任務とし、同時に生物剤検知キットの開発も行っていると説明。大量破壊兵器に関する国軍の軍備は対処能力の向上を主軸にしている」と説明した。
台湾総統府の林聿禅報道官は同11日「生物兵器の開発は国家のイメージを損なうだけでなく、国際社会からの共同の制裁を受ける可能性もあり、これは基本的な国際常識」と指摘。「根拠なき指摘はすでに国民と国家の利益を損ない、さらには地域の安定に対しても悪意ある挑発となっている。非常に無責任だ」と非難した。
なお、台湾行政院の林子倫報道官は翌12日「報道内容に載せた会議記録の時間、使った言葉にはいくつか誤っているところがあるから、この報道の根拠は誤情報だった」と指摘。「直ちに報道の内容を訂正することを求める」とした。
米国在台協会が報道内容を否定「米国は生物兵器禁止条約の締結国の一つ」
米国対台湾窓口機関「米国在台協会」(AIT)は同10日、台湾メディアの取材に応じ「米国は生物兵器禁止条約に最初に署名した国の一つ。生物兵器の開発を禁じ、生物兵器の製造や取得について、いかなる組織に対しても援助や奨励を行ってはならないと規定している」と説明した。
また米国国務院は台湾メディアの取材要請に対し「報道は事実ではない。米国は生物兵器禁止条約の規定を従っている」と答え、報道の内容を力強く批判した。