台湾では9月9日、国民党政権による政治的迫害「白色テロ」で被害を受けた政治受難者の名誉を回復する式典が行われた。出席した蔡英文総統は挨拶で、国家の不法行為によって権利侵害をされた人々やその遺族に対し、政府を代表して謝罪した。
「白色テロ時代」は1947年の二・二八事件から1987年に戒厳令が解除されるまでの期間を指す。国民に相互監視と密告を強制し、反政府運動の弾圧を徹底的に行った結果、約14万人が投獄され、そのうち3,000名から4,000名が処刑されたと言われている。
蔡総統は「移行期正義の取り組みを通して、かつての権威統治を見直し、国家が行った不法行為について責任の所在を明らかにし、歴史の真相をつまびらかにする必要がある」と指摘。2017年から2022年まで立ち上げた「促進転型正義委員会」は白色テロ時代の政治的責任、受難者数の調査など行っており、今は台湾内政部をはじめとする6つの部会が引き継いでいる。
さらに蔡総統は旭日双光章を受賞し、白色テロ時代に政治犯として緑島で10年間の獄中生活を送った蔡焜霖に言及し、彼による人権教育の普及について「彼の精神と遺志は台湾の民主主義の道のりにおいて、これからも我々を前へと導いてくれるだろう」と述べた。
また、遺族として出席した王文宏さんと、白色テロ被害者の呂昱(呂建興)さんから「生存する被害者が少なくなってきた。加害者責任の追及をできるだけ急いで欲しい」と求めたのに対し、蔡総統は「自身の任期内に作業をできる限り進めていく」と約束した。