中国からの軍事演習に遺憾 国防部ら軍事行為を確認

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国軍が軍用機や軍艦で厳密に監視し対処した(写真提供:中央社)

 台湾国防部は10月15日、同14日午前5時より15日午前6時までに「中国の軍用機延べ153機が台湾海峡周辺で活動しているのを確認した」と発表した。同部が公開した資料によると、一日当たりの確認数としては過去最多。同14日は早朝より夕方までの間、中国軍「連合利剣2024B」と名付けた軍事演習が台湾周辺で実施されたという。

沿岸部に配備したミサイル システム(写真提供:中央社)

 軍事演習は、軍用機のうち延べ111機が台湾海峡の暗黙のライン「中間線」を越え、台湾の西、南西、東の空域に進入した。台湾海峡周辺では、軍艦延べ14隻と公船12 隻の活動を確認している。

 同部は「国軍が軍用機や軍艦、沿岸部に配備したミサイル システムで厳密に監視し対処した」と発した。 また同部は、台湾海峡周辺で活動した中国の軍用機などの確認数を日毎に発表している。

 通常は当日の午前6時までの24時間に確認した数を発表するが、10月15日 は前日の軍事演習に関連する動向を反映するため、同14日午前5時より15日午前6 時までの25時間分を計上して発表した。

 中国人民解放軍東部戦区は10月14日、台湾を取り囲む形で軍事演習を行うと発表したのを受け、頼清徳総統、国防部および台湾外交部、そして台湾で対中政策を担う大陸委員会は相次いで中国への非難を表明した。

【頼清徳総統】

 中国人民解放軍が10月14日、台湾周辺での軍事演習の発表したのを受け、頼清徳総統は同日「発表直後に中国軍の動向を全面的に把握した」と自身のフェイスブックに投稿した。頼氏は「台湾海峡の平和と安定を守るために力を注ぐ」と表明。両岸(台湾と中国)が対等かつ尊厳を持ち「健全で秩序ある対話や交流をすることを望む」とし「これはわれわれが一貫した堅持と変わらない態度だ」と示した。 また、国民や同胞に対して安心するよう求め「政府として自由民主主義による憲政体制を防衛し続け、民主主義の台湾と国家の安全を守る」とした。

台湾国防部の記者会見(写真提供:中央社)

【国防部】

 国防部は「このような理性的でない挑発行為に強い非難を表明する」と声明。「規定に基づき適切に兵力を派遣して対応した」とし、実際の行動で自由、民主主義を守り、中華民国(台湾)の主権を守るとした。

【外交部】

 外交部は「中国がわれわれの善意を無視し、挑発行動で台湾海峡と地域の緊張を高めた事を強く非難する」と表明。頼清徳総統が10日の中華民国国慶日の演説で中国に改めて善意を示し、台湾と共に地域の平和や安全、繁栄を守る責任を負うよう訴えたことに言及した上で、中国に対し「地域の平和と安定を破壊するトラブルメーカーにならないよう」と呼びかけた。

【大陸委員会】

 大陸委員会は軍事演習について「地域の平和と安定、両岸(台湾と中国)関係を破壊するものだ」として強い非難を表明した。同委は「中華民国の存在は客観的に否定 できない事実」とし、中国共産党が武力による台湾侵攻を諦めず、台湾に対して対抗 的に軍事演習を開始した事は「台湾海峡やインド太平洋地域の安全、ひいては全世界の民主主義や平和に対する公然たる挑発だ」と強調した。

【民進党】

 与党民進党は報道資料で、中国が「再び理性的でない挑発的手段で、民主主義や自 由、平和、繁栄を固く追い求める台湾の人々を理由なく脅迫したことを強く非難する」と表明。「これらの好戦的行為こそが真の頑冥不霊(頑固で無知なこと)だ」と批判した。また、中国の深刻な挑発行為に「台湾の人々は屈しない」とし、中国政府に対し「中華民国台湾の存在、両岸(台湾と中国)が互いに隷属しないという台湾海峡の 現況を正視すべきだ」と訴えた。その上で、労力と財を無駄にし、人に損害を与えて 自分の利益にもならない「文攻武嚇」(言葉で攻撃、武力で威嚇)行為を即刻放棄し、両岸と地域の平和、安定を守る上で負うべき責任を引き受けるよう呼びかけた。

【国民党】

 野党国民党の楊智伃氏(広報担当)は「中国大陸が軍事演習で台湾を脅しており、 軍事演習は地域の安全に深刻な影響を与えている」と批判。両岸の人々の感情を傷つけるものだとし、党として「強い遺憾」を示した。同党は関連情勢に厳正な関心を向けているとし、各方面が人々を思いやり、衝突を激化させないよう抑制することを望むとした。