米商務省はこのほど、CHIPS法に基づき「66億ドル(約1兆円)を台湾半導体製造最大手のTSMCアリゾナに直接投資する」と発表した。同時にTSMCの1.6nmプロセスルールを採用した半導体工場がアメリカに建設されることも明らかにした。
CHIPS法は、米国内での半導体産業支援及び振興を目的とした法律で、国内で活動する企業に対して補助金を助成するもの。
バイデン政権は、トランプ次期大統領がCHIPS法の反対姿勢を示している事を理由に、大統領就任前に契約を急いだと見られ、2024年11月7日には「TSMCとGlobalFoundriesが商務省との合意に至った」と報道されていた。
なお、TSMCには最大50億ドル(約7700億円)の融資を受ける権利も付与されている。
さらに、TSMCが1.6nmプロセスルールの半導体製造技術「A16」を採用した半導体工場をアリゾナ州フェニックスに建設する事も明らかになった。工場の建設により、2万人以上の建設関連の雇用と約6000人の製造関連の雇用が生まれる見込み。バイデン大統領は「TSMCとの最終合意は650億ドル(約10兆円)に達する民間投資を促進し、アリゾナ州に拠点の最先端施設を建設。2030年までに数万人の雇用を創出する」と述べた。TSMCは2nmプロセスルールでの量産を2025年に、1.6nmプロセスルールでの量産は2026年後半に開始の予定。
トランプ氏はこれまで、バイデン政権のCHIPS法を批判してきた。トランプ氏は先月TSMCを狙い「半導体企業はとても裕福だ。米国の事業の95%を盗みいま台湾にある」と話していた。
次期半導体と関連した米国政府の政策に対する不確実性が大きくなったことを理由に、TSMCは来月12月初旬、予定していた米国工場完工式を見送っている。台湾メディアは消息筋の話として「TSMCが12月に開く予定だったフェニックス第1工場完工式への招待客に中止の通知をした」と報道している。