高市早苗首相、決断の解散――四つの帰結

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【読者投稿】高市早苗首相が衆議院を解散し、決戦の陣で臨む総選挙が、27日に正式に始まった。465議席をめぐり、わずか16日間で勝敗が決まる短期決戦である。

就任から3か月という異例の早さで「冒頭解散」に踏み切った高市首相にとって、今回の選挙は単なる国政選挙ではなく、自身の進退を左右する信任投票でもある。

今回の選挙結果は、大きく分けて四つの帰結が想定されており、それぞれが日本の政治に異なる影響をもたらす。

第一の局面は、自民党と日本維新の会による与党連合が、衆議院で過半数を確保する場合である。

たとえ参議院で過半数に届かなくても、日本の憲法制度では「衆議院の優越」が認められており、予算案や条約、首相指名は、両院で合意できない場合でも衆議院の決定が優先される。

233議席を超えれば政権運営は最低限安定し、243議席に達すれば常任委員会の主導権を確保できる。さらに261議席に届けば、すべての委員会を安定的に掌握し、立法運営はより円滑になる。

第二の可能性は、自民党が単独で過半数を獲得する場合だ。

この場合、いわゆる「保守岩盤層」が戻ったことを意味し、高市首相の党内求心力は大きく高まる。政権の基盤が固まり、維新の会への依存度も下がることで、与党連合内の力関係には微妙な変化が生じるだろう。

第三の情況は、自民党と維新の会を合わせても過半数に届かないものの、自民党が引き続き第一党となる場合である。

慣例上は自民党が首相の座を維持する可能性が高いが、高市首相はすでに「与党が過半数を取れなければ辞任する」と明言している。その場合、高市首相は退陣を余儀なくされ、自民党と維新の会による「閣外連力」の枠組みも見直しを迫られることになる。

第四の帰結は、最も不確定要素が大きい展開である。立憲民主党と公明党が急きょ結成した「中道改革連合」が、衆議院で第一党となった場合、政権交代が現実味を帯びる。

前立憲民主党代表の野田佳彦氏、あるいは前公明党代表の斉藤鉄夫氏が中心となり、自民党を含む大連立政権が模索される可能性もあり、日本の政界は先行き不透明な状況に入るだろう。

注目すべきは、「中道改革連合」は結成こそ急だったものの、立憲民主党には労働組合、公明党には創価学会という安定した組織支持がある点だ。厳冬期で投票率が低下すれば、こうした組織票の影響力は相対的に高まる可能性がある。

高市首相にとって、今回の選挙に曖昧な結果は許されない。信任投票の先に待つのは、単に誰が政権を担うかという問題だけではなく、政権の安定、政党再編、そして日本政治の進む方向そのものが問われる局面である。

2026年1月30日

大田一博 敬具

参考:現在の衆議院議席数
自民・維新連合:232
中道改革連合:167
自民党:198
日本維新の会:34
合計:465
過半数:233