高市早苗首相が「開会直後に衆議院を解散」する三つの理由と五つの背景

0

【読者投稿】1月15日、日本の主要紙は一斉に、高市早苗首相が1月23日に召集される通常国会の冒頭で衆議院を解散し、早ければ2月8日に投開票を行う方針であると大きく報じた。解散から投票までわずか16日間という、戦後最短の選挙日程となる見通しだ。

高市首相は韓国大統領やイタリア首相の来日対応に追われているため、自民党の鈴木俊一幹事長が記者団に対し、解散の三つの理由として、①自民党と日本維新の会による連携、②責任ある積極財政、③安全保障政策を挙げて説明した。

これに対し、野党は「政治の空白を生む」と批判している。しかし、現在の日本の政治状況、そして高市首相自身の立場を考えれば、今回の衆議院解散は単なる戦術ではなく、避けて通れない戦略的な決断と言える。その背景には、主に次の五つの要因がある。

第一に、衆議院と参議院のねじれで政策が進まないこと。

高市内閣は衆議院では会派運営によって何とか過半数を確保しているものの、参議院では少数与党のままだ。法案はたびたび野党の反対に遭い、調整と妥協ばかりが続く。選挙で明確な多数を得なければ、政権は空回りし、国民の期待に応えることも改革を進めることも難しい。

第二に、高い支持率を背景に「今が勝負どき」であること。

高市内閣の支持率は発足以来、7割前後を維持し、若い世代では9割近い支持を得ているとの調査もある。民主政治の正当性は民意にある。すでに高い信任を得ている以上、国民に判断を仰ぎ、さらなる支持を求めるのは正当な行為だ。

第三に、自身の政治基盤を築く必要があること。

高市首相は、いわゆる人脈作りや派閥調整に長けたタイプの政治家ではない。男性中心で派閥色の強い自民党の中では、むしろ孤立して見える存在だ。自民党の支持基盤を広げ、選挙で結果を出さなければ、党内をまとめるのは容易ではない。解散総選挙は、理念を共有する仲間を増やし、自らの政策を形にするための重要な一歩となる。

第四に、「台湾有事」をめぐり国民の判断を仰ぐ必要があること。

高市首相が国会答弁で「台湾有事」に言及したことをきっかけに、中国からの強い反発や、親中派野党からの批判が相次いだ。日中関係が緊張する今こそ、民主国家である日本は、国民の意思を通じて進むべき道を確認する必要がある。

第五に、米国と連携し、アジア太平洋で主導力を発揮するためであること。

高市首相は日米同盟の強化を明確に打ち出しており、米国のトランプ政権と良好な関係を築ける指導者としても注目されている。防衛体制を固めることで、台湾海峡の平和やインド太平洋戦略において、日本はより大きな役割を果たすことができる。それは日本だけでなく、台湾の安全にも直結する。

日本の政治史を振り返れば、首相が国会を「冒頭解散」した例は少なくない。「開会直後の解散」は混乱を招くものではなく、むしろ国民に判断を委ねる民主的な選択である。高市首相の決断は、日本、そしてアジア太平洋全体の進む方向を明確にする試みと言えるだろう。

※「冒頭解散」とは、国会が始まってすぐに衆議院を解散することを指す。

2026年1月16日

大田一博 敬具