日中のせめぎ合いの中での国会解散――高市早苗首相の戦略的判断

0

【読者投稿】高市早苗首相は、1月23日に召集される通常国会の冒頭で、衆議院を解散する方針を正式に表明した。首相は、外交や安全保障政策は、国民の強い支持がなければ前に進まないと強調し、中国が最近、台湾周辺で軍事演習を繰り返していることを例に挙げ、日本を取り巻く国際情勢が非常に厳しくなっているとの認識を示した。

また、国会での「台湾有事」に関する自身の答弁をめぐり、日中関係が緊張し、野党からも批判が出ていることについては、政治の場だけで決着をつけるのではなく、選挙を通じて国民の判断を仰ぐ考えを示した。

中国が高市首相の発言に強く反発しているのは偶然ではない。その背景には、少なくとも三つの要因がある。

第一に、中国要因である。
中国は現在、政治・経済・軍事の各分野で圧力を抱え、政権運営は安定を欠いている。そうした中、高市首相が国会で地政学的現実を率直に語ったことは、「台湾問題は内政問題だ」とする中国の主張を公に揺るがすものとなり、北京は対外的に強硬姿勢を強め、内部圧力の転換を図っているとみられる

第二に、日中関係の要因である。
高市首相は就任後、外交や安全保障の分野で積極的に発信し、はっきりとした政治姿勢を打ち出してきた。その結果、内閣支持率は高水準を維持しており、中国側が警戒感を強めている。首相の国会答弁は、日本社会に危機意識を広げる一方で、中国にとっては見過ごせないものだった。

第三に、米中関係の影響である。
アメリカのトランプ大統領が4月に中国を訪問する予定であることから、中国はそれまでの間、アメリカが中国に対して強硬な対応を控えると見込み、だから日本に対する姿勢を強め、日米の対応を探っている可能性がある。

この一連の緊張のきっかけを作ったのは、立憲民主党の岡田克也・前幹事長である。「日中友好議員連盟」の副会長も務める岡田氏は、国会質疑で「台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡が封鎖された場合、日本の存立危機事態に当たるのか」と具体例を挙げて質問し、就任間もない高市首相に判断を迫った。

高市首相は法律に基づき、冷静に事実を説明したが、これに対し、立憲民主党や公明党など、いわゆる親中とされる政党からの批判が相次ぎ、中国も強い言葉と非理性な反応で反発し、発言の撤回を求めた。しかし、その対応は説得力を欠き、結果的には高市首相の立場を弱めるどころか、支持率の上昇を招くことになった。

「台湾有事」が日本の存亡に関わるのかどうかは、本来、感情ではなく冷静な議論が必要な問題である。しかし、与野党の対立の中で、過度に政治問題化されてしまっているのが現状だ。衆議院で与党が十分な多数を持たない状況では、安全保障をめぐる重要な議論が滞りがちになる。

だからこそ、高市首相は早い段階で国民に判断を委ね、共通認識をつくり、指導力の基盤を固めようとしている。国民から明確な支持を得てこそ、日本は変化の激しい東アジア情勢の中で、責任ある選択ができる。その先にこそ、高市首相が語る「中国と長期的な対話を進めるための環境づくり」があると言えるだろう。

2026年1月21日

大田一博 敬具