【台湾行政院長(首相に相当)の訪日、日台「根回し外交」の新突破】《台湾新聞》の讀者投書(日文)

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【讀者投書】台湾の行政院長(日本の首相に相当)である卓榮泰氏は、3月7日、台湾の駐日代表・李逸洋氏の同行のもと、突然東京ドームに姿を現し、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の試合を観戦した。これにより台湾チームの士気は大いに高まり、チェコ代表を14対0で破った。

これは1972年に日本と台湾が断交して以来、実に54年ぶりとなる台湾の首相級人物の訪日である。NHKや『朝日新聞』もこの歴史的な出来事を一面で報じた。今回の訪日には、少なくとも四つの重要な意味がある。

第一に、日台交流のさらなる活発化である。

近年、台湾の高官による訪日は次第に増えている。
2022年には副総統の頼清徳氏が安倍晋三元首相の弔問のため来日した。

2023年には行政院副院長の鄭文燦氏が公の形で訪日。

さらに昨年7月には外交部長の林佳龍氏が非公式に訪日し、9月には立法院長の韓国瑜氏が国会外交として日本を訪れた。

このように台湾の現職高官が相次いで日本を訪れている。

これらの往来は正式な外交関係に基づくものではないが、中国からの圧力の中で進められている「非公式交流」と言える。

第二に、日本外務省の対台湾姿勢の変化である。

日本外務省で台湾問題を担当する部署は、アジア大洋州局の中国・モンゴル課の下にある「台湾班」であり、香港やマカオと同じ位置づけに置かれている。

また台湾班の官僚の多くは、中国への赴任をキャリア上の目標としているため、日台交流に関しては中国の反応を気にする傾向があった。

しかし近年、地域情勢の変化や日台関係の深化に伴い、外務省の官僚の対台湾姿勢も徐々に柔軟になりつつある。

第三に、高市早苗首相の強い後押しである。

日本と台湾の間には正式な外交関係がないため、日本政府は台湾の現職高官の訪日に一定の制限を設けてきた。

今回、中国が強く警戒する中で行政院長の訪日が実現したのは、高市首相の強力な支持がなければ難しかったと考えられる。

こうした動きは、高市政権の対台湾政策が新たな段階に入ったことを示している。

第四に、「根回し外交」の成功である。

「根回し」とは、物事を正式に決定する前に、事前の話し合いや調整を通じて水面下であらかじめ合意を形成し、そのうえで公に進めていく行動様式を指す。

台湾関係者によれば、今回の「根回し外交」の重要人物は、「台湾日本関係協会」の会長である謝長廷氏と、自民党幹事長代行の萩生田光一氏であるという。

特に、前駐日代表の謝長廷氏は最近頻繁に日本を訪れ、水面下で調整を進めてきた。また謝氏は卓榮泰院長のかつての上司でもあり、両者の信頼関係が円滑な意思疎通を可能にした。さらに駐日代表の李逸洋氏が間に立って調整を行い、表には出せない日台間の「根回し外交」が大きな役割を果たした。

現在、日中関係は徐々に緊張が高まり、中東では戦火が拡大している。また高市首相は訪米を準備しており、アメリカのトランプ大統領も近く中国を訪問する予定である。

こうした敏感な国際情勢の中、これまでであれば日本外務省の官僚は台湾側に自重を求め、訪日を控えるよう促した可能性が高い。

しかし今回は、日本がむしろ台湾の首相級人物の訪日を後押しした。

その象徴的な意味は大きく、日本がこれまでの政治的な制約を少しずつ取り払いつつあることを示している。

かつて「日台は唇歯の関係」と言われても、それは政治的なスローガンに過ぎないと見られることもあった。

しかし現在、交流のレベルが高まり、協力の仕組みも徐々に整いつつある。
日台関係は今や、より制度化された「運命共同体」へと発展しつつあるのである。

投書人:大田一博

2026年3月10日