~台南市のビジネス効果にも期待~
台南市の頼清徳市長ら訪問団12人は文化交流のため、9月19日~23日の4日間の日程で訪日、京都、金沢を訪れた。滞在中は京都府山田啓二知事と京都市門川大作市長を表敬訪問し、金沢へも足を伸ばした。
今回の訪日の目的は、京都市が1994年に発足させた歴史の古い都市同士の交流をめざすNGO「世界歴史都市連盟」に台南市が今年加盟したことによるもの。台南市は古都として知られているが、他の会員都市との文化交流を深めるとともに、千年の都である京都の歴史や文化観光事業・歴史遺産の継承など、各分野の経験を学ぶために訪日した。
この訪問の後、金沢市で「台南ウィークin金沢」(9月20日~23日)※の開催に合わせ金沢にも足を伸ばした。これは金沢・台南工芸交流展や金沢出身で台南地域にアジア最大のダム「鳥山頭ダム」を建設し、日本統治時代の台湾で農業水利事業に大きな貢献をしたことで知られる八田與一氏の展示が行われている展覧会に足を延ばしたもの。展覧会では、より多くの日本人に台南の歴史や伝統を知ってもらおうと、台南市立民族管弦楽団による演奏や歌仔戯(ゴアヒ、台湾オペラ)などの伝統芸能も披露されていた。
来日当日の9月19日、頼市長は旧知の中津川博郷衆議院議員の歓待を受け、翌20日は京都府庁を訪れ、山田知事を表敬訪問した。頼台南市長は「歴史が深く世界的に有名な京都と文化交流を促進していきたい」と述べ、山田知事は「台南市と交流を盛んにしたい。経済交流などいい関係が出来つつある」と応えた。続いて、訪問団は京都市役所を訪れの門川市長を表敬訪問。尖閣諸島をめぐって情勢が緊張する中での来日となったが、会談はそれぞれの都市について紹介するなど終始なごやかな雰囲気で行われた。門川市長は「国と国との関係が難しいなか、都市と都市との関係を深めることが大切」とし、これに対して頼市長は「日本と台湾の友好関係は長い期間かけて築かれたもの。尖閣諸島などの問題に影響されるべきではない」と話し、今回の来日には問題ないことを強調した。
また、京都訪問中の20日に頼市長は、将来、台南地域の公共交通システムや鉄道路線の地下化、駅周辺の再開発などの参考モデルとするため、京都市のバス運行システムや京都駅を視察した。実際にバスに乗車した頼市長は、台湾の古都である台南市は今後、京都と同様、公共交通機関やバリアフリー環境を整え、交通や観光の各面から総合的な都市計画を構築していくことを課題としたいと述べた。同市長は京都駅を視察した際、「千年の都であり日本で人気の観光都市・京都において、同駅は交通と観光の重要な入り口として機能しており、周辺では神社などの名所旧跡がしっかり維持管理されている。将来、台南市で鉄道路線の地下化や駅の再開発を進める際の参考になる」と考えを示した。 京都訪問の後頼市長は金沢市を訪れ、同市の山野之義市長から歓迎を受けた。山野市長は東日本大震災の台湾からの支援に対する感謝の意を表した。台南市では今回の訪問をきっかけに文化都市として台南市の知名度向上と文化観光によるビジネス効果に期待を寄せている。
※ 台南ウィーク…台南市の魅力を紹介「台南ウィークin金沢」の一環で、八田與一技師、伊東哲画伯遺品里帰り展」と「金沢・台南工芸交流展」が北國新聞社主催・後援で9月20日~23日の4日間、北國新聞交流ホールにて開催された。鳥山頭ダムを築いた金沢出身の八田技師の愛用品が没後70年を経て日本で初公開となり、金沢と台南の深い友情を印象付けた。また、同時開催の工芸交流展では金沢市と台南市を代表する作家が手掛けた陶芸、金工、銀装飾、刺繍など32点が出展、訪れた人々は熱心に展示物に見入っていた。また、7月22日には金沢市の北國新聞赤羽ホールにて台南伝統芸能披露公演が行われ、華麗な芸を披露した。開催期間中は展示会、披露公演とも多くの人が訪れ、金沢市と台南市の文化交流がさらに深まった。