~自由、民主、平和、対等を堅持する立場に変化なし~ 最大野党・民進党の蘇貞昌主席は10月8日、帰台した同党の謝長廷氏(元行政院長・首相に相当)の中国訪問に対する談話を発表した。蘇主席は、台湾は中国に対する野心はなく、中国はいまだに世界で台湾を中国の一部であると主張している。よって民進党は常に中国の交流は隠さず公表しなければならないと主張してきた、と語った。蘇主席は、民進党は一貫して台湾の主体性を堅持し、自由、民主、平和、対等の価値を堅持することを表明しており、中国との交流について「党内には様々な意見があるかもしれないが、民進党の一貫した立場に変化はない」と改めて強調した。
蘇主席は10月8日の重大な議題の会議を出席する前、メディアより謝長廷元行政院長の訪中についての質問を受けた際、先の発言となった。蘇主席は、民進党は「積極」・「自信」をもって中国に向き合うことを主張しているとしながら「積極」とは、台湾と中国は一衣帯水の隔たりがあるだけで、交流は必要とし、「対話と交流をもって双方の差異を解決する」ことが多くの国民の認識であるだけでなく、国際社会が台湾と中国に期待するところでもある、と述べた。また、「自信」とは、台湾と中国には確かに大きな差異があり、台湾は自由民主かつ解放された多元的な国家であるのに対し、中国は現在に至るまで一党独裁で自由がなく、民主的な国家ではない。よって「我々は台湾の価値がかならず将来中国で主流になると信じている」と述べた。
~謝長廷元行政院長、中国で厚遇される~謝長廷氏は国際バーテンダー協会の招きに応じ、政治活動とは異なる私的訪問として、10月4日より8日までの5日間の日程で中国を訪れた。
訪問先の中国では台湾政策責任者である載秉国国務委員が対応。独立志向の強い謝氏は訪中した民進党の中での地位は過去最高位。出迎えた側の対応はかなりの厚遇ぶりだった。中国国務院台湾弁公室の王穀主任によると、中国の現状や台湾政策について謝氏に説明。謝氏は「民主化や宗教などの問題で考えは異なるが、時間をかければ違いの問題を解決できる知恵がある」と答えたという。謝氏は今回の訪中について、「期待以上の収穫があった」と述べている。
今回、謝氏の訪中で中国側は謝氏に一定の配慮を見せてきた。その背景には、 中国側が民進党との協調を演出することで、中国に対する台湾人の警戒心を和らげたいという狙いがあるとみられる。
※謝長廷氏と蘇貞昌氏は2008年の台湾総統選挙に出馬したが、馬英九、蕭万長コンビに敗れている。