東京台湾の会が藤田克己氏の講演会「台湾物産館の歩み」を開催

0
講演会開会の辞

 小雨がそぼふる秋の銀座。10月18日(木)午後1時~午後4時30分まで東京台湾の会が主催する講演会・懇親会が糖業協会(ニッポン放送本社ビル)にて開催された。テーマは「台湾物産館のこれまでの歩みと今後の展望について」。講師は、台湾物産館を運営する池栄青果株式会社の藤田克己社長である。

東京台湾の会喜久四郎会長

午後1時、開会の辞の後、挨拶に立った東京台湾の会の喜久四郎会長は「台湾に生まれ育ち、東京に暮らす今も自分は台湾人だという思いが胸に積もります。どんなことがあっても台湾とは仲良くしなければなりません。今日は、実業家として活躍されている藤田社長のお話を聞くことが刺激になり、台湾に志す人を誘う動機になってくれるのではと藤田社長に講師をお願いしたところ、快くお引き受けくださいました」と語った。

続いて、東京台湾の会の多井昭憲事務局長が講師紹介を行なった。多井氏は、藤田社長が2006年から台湾政府の農林水産省に当たる農業委員会の東京でのアンテナショップ(台湾物産館)で台湾の果物、お茶、冷凍食品、調味料など、台湾食材を多く扱い、東京の人たちにアピールしていること、毎年夏には台湾産マンゴーが日本の消費者に提供され、価格の安さとおいしさで話題になること、そして、講演では、10年前まで台湾を意識していなかった藤田社長がどう台湾と関わりを持つようになり、何を感じたか、その魅力について語ってもらいます、と挨拶した。

定員50名の会場は満席となり、ゲストとして台北駐日経済文化代表処経済部周立次長、台湾協会齋藤毅理事長ほかが集い、今回の講演会への関心の高さがうかがわれた。

ところで、前述のように講師の藤田克己氏は1947年創業の池栄青果株式会社(本社:池袋)の代表取締役社長だ。同社は、青果部門、スーパーマーケット部門、こだわりや事業、コンビニエンスストア「ファミリーマート」のフランチャイズ事業などを展開するとともに、傘下に株式会社こだわりや、株式会社アイシーズン、株式会社池栄、株式会社スリーエストレーディング、池栄フーズ株式会社を擁し、池栄グループ全体の事業規模は、社員数150名、準社員650名、売上高120億円(2011年度)。

池栄青果株式会社(台湾物産館)藤田克己社長

講演は午後1時過ぎに始まった。講演のなかで藤田社長は、もともと池栄青果は青果の小売業として台湾産のマンゴーやパパイヤなど日本で人気の南国フルーツを大きく取り扱っており、その関係で台湾の国家的国際プロジェクト契約である「台湾物産館」の入札への打診があったこと、しかしながら、契約内容については、2005年当時は、輸入品の残留農薬や食品添加物問題があったり、言葉の問題、商習慣・国情の違いなどからクリアすべき問題が山積みしていたこと、北京語に精通したスタッフもおらず、難解な国際契約書を翻訳するだけでも大変な作業だったことなど、2006年3月の国際入札を突破し、農業委員会から「貴社が落札しました」との連絡を受けるまでの苦労を、歯に衣着せず、話した。

「台湾物産館」は、渋谷区笹塚のマンション1階にある。オープンは2006年7月25日だ。開店日には台湾の農業委員会の副大臣が来店するなど、賑やかな船出となった。同地域は高額所得者も多く、立地は優良との判断。品揃えは、マンゴー、パパイヤ、ライチ、パイナップルなど人気定番フルーツほか、多彩だ。

「実は店舗物件はなかなか見つかりませんでした。しかし、笹塚は見た翌日に決まった。普通はありえませんが、奥様が台中の出身で、一つ返事でOKとなった。また、専門店は800アイテムが常識ですが、250アイテムでスタート。今年8月で7年目に入りますが、お陰さまで450アイテムまで増えました。まだまだ努力が必要です」(藤田社長)

 ちなみに、一昨年の売上げが過去最高で4億4000万円だった。台湾にとって日本は一番農産物の輸出額が高い国だ。全農産物輸出額の20%以上。こうしたなか、台湾から現在、輸入許可されている果物は、9品目だ。マンゴー、ライチ、バナナ、パイナップル、白柚、ぶどう、パパイヤ、ポンカン、ドラゴンフルーツ。ただ、これは今後、増えていく予定だ。台北駐日経済文化代表処の周立経済部次長は次のように語る。

台北経済文化代表処経済部周立次長

 「台湾の果物は現在、9品目ですがこれを今後、どんどん増やしていきたい。この1、2年で解禁になるものがいくつかあるでしょう。台湾物産館の成功に期待しています」

 盛況のうちに講演は午後2時30分に終了。引き続き、懇親会に移った。東京台湾の会の山下靖典副会長の挨拶の後、台北駐日経済文化代表処の周立経済部次長、台湾協会斎藤毅理事長が挨拶。午後3時、乾杯開宴。閉会は午後4時30分だった。