安全、安心の技術で“日本ブランド”のニ-ズに応えたい

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~日本の美容外科の“今”を慶友形成クリニック・蘇雅宏院長に聞く~

都営新宿線「船堀」駅前に、平成12年にクリニックを開業し、形成外科医として長年培ってきた医療技術をもとに美容外科の分野で内外の女性の“美”を支えてきた蘇雅宏院長が語る“スタンスと挑戦”。

慶友形成クリニック 蘇雅宏院長

美容外科の世界は?

美容外科というのは、形成外科の中の一分野です。アメリカの場合、美容外科医になるには、一般外科のトレーニングを受けて、優秀な人が形成外科医になり、 訓練終了後に美容外科医になれるか、というほど厳しい世界です。ステータスが非常に高い。一方、約40年前に形成外科が日本に登場した際、先駆者の先生た ちは美容外科を敬遠する傾向がありました。現在、日本の美容外科学会は、私が所属する、形成外科の専門医だけが入会する日本美容外科学会と形成外科の訓練 を要しない他の学会の2つがありますが、こうした歴史が反映したものです。どちらがいいというのではありませんが。

日本の女性の2つのニーズ

日本の美容の世界は、口コミは意外と少ないです。満足したからといって他人にそれを話しません。美容外科には2種類あります。別人になってもいいという場 合、誰にも気付かれないようにという場合。前者は、鼻の形を変えるとか、目の形を変えるとか、胸を大きくしたいとか。形を変える美容外科は10代後半から 30代までの若い女性が多い。後者は、アンティエージングと呼ばれるもの。顔のたるみ、しわを取るなどは、年配の女性が多いですね

一方、韓国では美容外科はタブーではなく、骨系の手術は経験が豊富ですし、ツアーなどもあって盛んですが、実は、日本にも表にはあまり出ませんが、知る人ぞ知る日本ブランドというものがあり、台湾や中国から来日して手術をしたいという方も少なくありません。日本の技術への信頼があります。 私も海外のお客様を見ますが、安全重視で滞在期間を長めにお願いするなど、条件を厳しくしています。

新しい技術と安全・安心のスタンス

韓国は新しい技術を早く取り入れる傾向がありますが、私は性格もありますが積極的に新しいものを取り入れるということはしません。その技術の動向や学会の 評価などが定まるまで待ちます。問題がないことを確認してから取り入れるようにしています。全ての手術において、患者さんが100%満足というわけではあ りません。ですからうまくいかない場合にリカバリーできるかがポイントです。できないものは手術をしません。

ただ、先進技術はまったくやらないかというとそうでもなくて、自分の細胞(線維芽細胞)を採取、培養、冷凍保存、注入するという治療を行なっています。若 返りですね。これは日本では数箇所しかやっていません。培養技術は昔からあるものですが、設備を用意するのが大変なんですね。

様変わりした美容外科のイメージ

美容外科のイメージは誤解されている面もありました。昔は形成外科医が美容外科を軽蔑していた時期もありましたから。しかし、今は違います。東大も美容外 科を標榜していますし、北里大学など大学病院でも美容外科を標榜しているところがあるほど。冒頭でも述べましたが、美容外科は形成外科のなかの一分野で す。

事業としては、3年前に神戸に拠点を設けました。週に1回以上、月に5、6回は、向こうで手術をしています。全身麻酔を要するような大きな手術は東京でやり、アフターケアを神戸でやるというスタイルです。関西の方も利用しやすくなったと思います。

昔からみれば美容外科は受け入れられていますし、医者の数は増えています。後は景気が良くなれば(笑)

プロフィル

蘇 雅宏(So Masahiro)台湾出身。1985年に来日。東北大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部形成外科勤務を経て、神奈川県平塚市民病院形成外科勤務。美 容外科医としての準備を行い、平成12年船堀・慶友形成クリニックを開業。現在、慶應義塾大学医学部形成外科(美容外科)非常勤講師も兼務 。資格:日本美容外科学会専門医、日本形成外科学会専門医 、日本レーザー医学会認定専門医ほか。