新型液晶の搭載で業績改善目指す ~シャープ~
台湾の大手IT企業、華碩電腦股份有限公司(ASUSU・アスース)はこのほど、専用端末に差し込むだけでスマートフォン(高機能携帯電話)をタブレットとして使用可能になる合体スマホ、「Padfone(パッドフォン)2」を日本国内で販売する。11月8日、現地の関係者が明らかにした。
同製品は台湾や中国で販売され、スマホの手軽さとタブレットの利便性を融合させた斬新なスタイルに人気があり、発売を待ち望む声が日本でも多く出ている。シャープの新型液晶IGZOが使われており、高精細な画像が特徴。同製品がヒットすれば、シャープの業績改善にもつなりそうだ。
また、今年6月、ASUS社のパソコンの基盤(パソコン内部に装填されている主要部品=普段はユーザーの目には触れる事はない場所)に「日本に神の御加護を」という日本への思いやりのメッセージが英語で印字されていることが分かった。会社はこの件について「技術者が勝手にやったこと」としているが、内容が思いやり溢れるものであることから黙認したまま生産し続けている。市場からの好評価を得るなど、大きな話題を呼んでいた。親日的な技術者も多いASUS社とシャープとの提携に期待できそうだ。
シャープは2013年3月期に計上する最終赤字が4500億円規模に膨らむ見通しで、利益余剰金(過去の利益の貯蓄額)がマイナスになる公算が強く、これが原因で鴻海精密工業との資本提携も目下不透明。しかし、業績の下振れ要因は今期中に処理されることなどから、来期以降の経営基盤は固くなるものと見られる。さらに高精細で低消費電力(消費電力が従来の1/5~1/10)の新型液晶「IGZO」が軌道に乗れば、業績の大幅回復に拍車がかかる。
シャープの業績回復のカギを握る「IGZO」、ASUS以外にも同社は米大手パソコンメーカーとも交渉していることも明らかになっており、状況によっては液晶テレビの不振で急降下していた工場の稼働率の大幅な回復も不可能ではない。
鴻海以外にも活路を見出したシャープ、今後の動向に注目される。