~甘すぎるドーナツが要因か~
台湾の2大ドーナツチェーンの一つダンキンドーナツが年内12月より順次閉店すると伝えてられている。売り上げの低迷がその理由とみられる。
現在、台湾には日系のミスタードーナツが2004年より(20数年前に進出後、売行き不振のため全面撤退した経緯あり)、米系のダンキンドーナツが2007年より進出してそれぞれチェーン展開している。ダンキン社は一時30店舗を展開するまでに成長したが、不景気のあおりを受け徐々に事業規模を縮小。今年6月には高雄地区の4店舗を縮小し、現在台湾では19店舗と減少傾向が続いている。
今回はこうした縮小につづき、ついに台湾での経営に終止符を打つことになりそうだ。同チェーン店は独立店舗が少なく、ほとんどがデパートの美食街やMRTの駅構内の小規模店舗が中心。
同チェーンの台湾での代理店は、牛肉麺チェーンや靴販売店を全国で展開する三商行。同社の11月21日発表では、今年3期(9月まで)ですでにダンキンドーナツの赤字が1.59億元にまで達しているという。また、今年下半期の売り上げは昨年同期より2割減、一店舗一日あたり600個余りの販売数という。同社では、現況の19店舗の今後の市場規模の拡大は難しいと見ており、またアメリカ本社に支払う権利金が高額などを理由に、アメリカ本社と協力して権利金の再検討を含めた調整をしてゆくと見られる。
現在営業中の19店舗はとりあえず12月より順次閉店。従業員200人については、グループ傘下の他の飲食店への転出や早期退職を促す。なお同社では“撤退”ではなく、“定期調整”として撤退報道を否定している。
一方、ダンキンドーナツの最大のライバイルでセブンイレブンやスターバックスなどの代理店の統一グループが展開するミスタードーナツは、現在台湾で54店舗を展開。不況の影響は特に受けず、来年も新店オープンの予定があるほどである。
三商行は「台湾の消費者にとても甘いお菓子はあまり好まれない傾向にあり、アメリカ生まれのダンキンドーナツの主用商品はとても甘いケーキ風味のお菓子(ドーナツ)のため市場開拓が難しかった」としている。
一般に日本生まれのミスタードーナツは、甘さ控えめでアジア人向けに味付けを工夫している。台湾の消費者にも受入れやすいと自信を持つ。
今回の報道で、ダンキンドーナツに名残惜しさを感じ、ドーナツを買い求めるお客が増えており、新北市板橋区にある店舗スタッフによると「報道以降売行きが好調で、閉店のことは聞いていない」とコメントしている。