~新たな交渉先に米2社が浮上~
シャープと鴻海精密工業の出資交渉が暗礁に乗り上げている。2013年3月に迫る期限に対してシャープ幹部は「契約の結び直し」の可能性に言及。同時に、新たな出資先候補として米・半導体大手のインテル、米・通信大手のクアルコムなどの社名も浮上した。これまでのシャープの救世主としての鴻海の存在感はここにきて薄まっている。
11月9日に鴻海グループの中国工場で5千人規模の暴動が再び勃発し、9~10月にかけて山西省や河南省の工場で4千人規模の暴動やストライキが発生している。シャープ株も現在150円前後まで値下がりし、今年3月の契約合意時の550円の株価に対し大幅な値下がりなどが出資提携の暗礁に拍車をかけたものと見られる。シャープの来年3月期の連結最終赤字見通しは、過去最悪の4500億円と予想されているだけに、同社株価の回復の見込みは低い。こうした障害が両社の交渉に影を落とし、交渉締結の糸口が見えない要因とされる。
シャープの奥田隆司社長は「まずは業績を回復させること」と株価上昇を目指すと意気込むが思惑通りには進んでいない。経営再建中のシャープにとって鴻海との提携は資本増強のために何としても実現したいとしているが、来年3月の締結期限は目前だ。
鴻海との交渉が長引く一方、シャープへの出資先候補として、ここにきてインテルやクアルコムなど鴻海以外の社名も浮上してはじめている。また、台湾の華碩電脳(ASUS)がシャープ製の新型液晶「IGZO」を搭載したスマートフォンをタブレットして使える合体スマホ「パッドフォン2」を近く販売する予定であるなど、ヒットすることでシャープの業績改善にも結びつく可能性もある。
シャープは鴻海との交渉が長引く一方で、新たな出資先候補である米2社との協議も進めており、インテルからは最大400億円の出資を受ける方向で交渉を始めている。また、「中国での相次ぐ暴動などで鴻海のイメージはあまりにも悪く、シャープとしても鴻海との連携に腰が引けてきたのでは・・・」との推測も市場関係者の間で囁かれている。シャープ社内では、すでに鴻海以外を想定した資本増強策が検討されているという見方も強くなっている。