日本政府の無期限金融緩和策の発動を受け台湾経済部は「一層の円安が進行する」とみて、陳沖行院長(首相に相当)は1月24日、自動車や食品など日本製品の値下げを実施するよう各企業に呼び掛けた。
これに対し経済部(経済産業省に相当)は2月1日、自動車、化粧品、電気製品、衣料品などの日本製品輸入業者らと懇談会を開催した。大幅な円安による商品価格引き下げの可能性などを検討。販売促進キャンペーンの実施期間を延長することで合意した。
懇談会では、自動車分野で三菱自動車の販売を手掛ける中華汽車や裕隆日産、台湾無印良品、台湾ワコールなど11社が経済部と価格引き下げ共同声明に調印した。これより11社は円安による輸入コスト低減やサプライヤーの値下げによる節約分を商品価格に反映するとみられる。
また、ユニクロなど衣料品関連分野も値下げを検討しており、円安に加え、企業イメージの向上の狙いもあるとみられる。ユニクロでは値下げは円相場の変動が原因としておらず、生産地の移転を値下げの理由にあげている。同社では、今年の春夏服の1割値下げを決めており、下げ幅は最大で5割、平均2~3割としている。
経済部は、輸入業者や管理・販促のコストがそれぞれの企業により異なるため、値下げ幅について議論しなかった。しかし、円安を反映した製品の価格引き下げそのものについては意見が一致したと説明。旧暦の正月(2月9日~17日)以降、情報、通信、家電の3C関連輸入業者らと話し合うことも予定している。
また、陳行政院長は経済部に対し、輸出業者に外貨の長期運用などの対策で輸出競争力を維持することも指示。同時に、円安による日本企業の台湾投資意欲の下落要因にならないか注意換気するよう求めた。さらに陳行政院長は、円安がアジア通貨の大幅上昇を招く懸念から、中央銀行(日銀に相当)に対し、台湾のライバル国(韓国など)の為替変動に注意し、必要に応じて対策するよう指示した。同時に外資によるホットマネー(短期的な投機資金)が大量に台湾市場になだれ込み、台湾経済や金融市場に打撃を与える事態に警戒を呼び掛けた。
※陳沖行政委員長は現職時(1月24日時点)の発言。