「呉英毅僑務委員長、沈斯淳代表、御来阪歓迎晩餐会」が2月9日、大阪市内で行われた。その席上、台北駐日経済文化代表処沈斯淳代表から「外交貢獻奨勳章」が贈られた王輝生(大田一博)氏に日台関係について聞いた。
Q受賞について感想は
A本当に感無量です。日、台国交がないので日台交流の為に一介の開業医ですがこれまで様々な政府レベルなことをしてきました。例えば、12年前(2001年4月)、李登輝元総統が来日する際に、なかなかビザが下りなかった。その時、京都大学のOBとして京都大学のすべての教授に手紙を出して、署名運動も行い、3万通の手紙を出して1万5000通の署名を返していただきました。88人の京都大学の教授からも賛同の署名を得ました。その結果を森総理と京大総長に送りました。それで長年の日本訪問の念願は実現しました。
Q日本台僑李登輝之友会会長もされています。来日が実現し、李登輝元総統は恩師に会われましたが。
Aそうです。それは4年後の二度目訪日でした。故柏 祐賢(かしわ すけかた)先生は元京都大学の農業経済の教授だった方で、元京都産業大学学長、理事長です。李登輝元総統の恩師として知られています。私は李登輝元総統に手紙を書いて(97歳の恩師が)具合は悪いが李登輝元総統にお会いしたいという気持ちを伝えました。それで、2004年12月31日大晦日に京都入りした李登輝元総統は恩師の家を訪問しました。60年ぶりの感動の再会でした。
Q台湾留日京都大学校友会会長もされています。
A去年の11月24日に国際糖尿病学会がありました。京都大学が主催したものです。その時に、台湾の国名が「Chinese Taipei」になっていたわけです。これでは台湾の医師は参加したいのに自分の国の名前が見つからなかった。それで私が京大に抗議をしたり、いろいろ動いて根回ししてようやく「台湾」の名前に変更できました。2年前の韓国や3年前のドイツではこういうことは起きませんでした。
Qほかに交流活動は。
A私は台湾出身です。だからできるだけ日本と台湾が仲良くなれるように一生懸命に努力しています。京都大学の教授達と先輩達を毎年、お正月やゴールデンウイークを利用して台湾に招待して、台湾のVIPと面会してもらったり、様々な親日の方と会ってもらったり。これほど親日の国はない事を皆様に自身で体験していただきました。ロシア、北朝鮮、韓国、中国等反日の国々に囲まれた中で日本の周囲には親日は台湾しかないでしょう。しかし、日本政府はその宝が分からないようですから多くの日本の方々に理解して頂きたいと頑張っています。
Q日本人も台湾のことを思っている人が多いのでは。
A確かに日本と台湾は50年間共通の歴史と価値観があって、日、台の民間交流も盛んで台湾では日本が好きという人が85%に上ります。世界中でこんなに親日の国はありませんが、日本政府が台湾人民の感情を大事にしていただいていないことが本当に残念です。現在、日本政府は依然台日人民感情の絆の深さが余り分かっていないようです。例えば、311東日本大地震の際に九州より小さな台湾(2300万人口)が民間から200億円以上の募金を集めて東北地方に寄付したのにその後の日本政府主催の震災援助感謝パーテイには最大の寄付国台湾だけが招待されなかったこと等等です。
Q心配なことは
A台湾で日本に特別な感情をもっていて、日本語ができる方々が歳を取り、年配になっていきます。その方々がまだ生きておられるうちに日台間有志の人達が頑張らないと、今のような日本政府の冷たいやり方をやっていくと、世界一親日的な国台湾はだんだん日本から離れていくと思います。
●プロフイール
王輝生(大田一博)さん:医療法人 輝生産婦人科・内科・小児科医院 理事長・院長(京都大学産婦人科医学博士)、日本台僑李登輝之友会会長、京都大学日台交流会会長、台湾留日京都大学校友会会長