人材派遣・紹介大手のパソナは3月30日、台北市内の台北国際会議中心で大規模日系企業就職説明会「ジョブ博」を開催した。これはパソナ台湾設立25周年を記念したイベントで、同社による日系企業就職説明会は初めての試み。30社以上の日系企業が集まった会場には、日系企業への就職を希望する多くの来場者で賑わった。
パソナ台湾許書揚社長は説明会実施の理由を「(台湾で)優秀な人材を確保したい日系企業が増えている」からと説明する。この背景には「3年程前から日本企業の台湾進出が顕著になっている」現状があり、「円高、日本国内のサービス業の飽和により、企業の国際化、海外進出が進んだ。台湾は日本より近く、文化も似ている。このことから中小企業が台湾に進出し、海外市場での反応を伺っている」、更に近年では「メーカーなどが地震の際のリスクを低減するための台湾進出も多い」と分析する。
会場には全国各地から来場者が訪れ、開場前にはスーツ姿の若者が列を作った。就職活動の際にもカジュアルなスタイルが一般的な台湾では比較的珍しい光景であり、来場者の熱意が感じられた。新竹の交通大学に通っていると言う女子大生は「日本のドラマが好きで、日系企業に興味が有る。今大学4年生で、(日系企業の他にも)台湾企業や外資企業などを見比べている所」と話し、日本企業の魅力については「物事に対する姿勢、何事もきちんとしている所」と話した。 台中科技大学はバス二台をチャーターして参加し、日本語学科4年生の女子学生は「(日系企業への就職を考えているので)企業を知る良い機会だと思う」と、就職フェア開催を歓迎した。
また学生以外にも、転職を考えている人も多く訪れ、新竹から来たと言う男性二人は「日本が好きだし、日本語も勉強しているからきた。職場の制度が日本と台湾では異なり、興味が有る」と語り、「新竹にも進出している企業を見て回っている」と話した。会場では就職活動に関する講演や模擬面接も行なわれた。台湾大学を卒業し現在は台湾現地企業に務めていると言う男性は「日本の企業に興味がある。機会が有れば日本で仕事もしてみたい。模擬面接はとても良い練習になった。日本の文化や待遇も魅力的」と語ってくれた。
参加企業側の台湾大林組今井昌彦さんは、台湾でこの様な説明会への参加は初めてとした上で、「思ったよりも人気があり、沢山の人が聞きにきてくれている」と話した。求めている人材は「土木、建設、設備関係のエンジニア」。「日本語ができなくても支障はないが、できれば日本へ留学したり、日本語の色々な技術資料を読んだりと活躍ができる。台湾にも日本からのスタッフがおり、コミュニケーションが簡単にとれる為に貴重な戦力となる」と、今回の機会を通じて優秀な学生を見つけ出したい考えを語った。
ジュエリー販売を手がけるプリモダイヤモンド台湾も就職フェアには初めての参加。人力資源部の江瑩さんは「以前はインターネットの人材紹介サイトを使っていたが、ちょうど事業拡張を検討しており、早目に優秀な人材を確保したいと考え、説明会に参加した」と話し、「優秀な人材に巡り会えれば、日本本社や中国大陸への派遣も検討する」と明かした。
パソナ台湾は来年以降も継続して就職フェアを実施したい考えで、台中や高雄といった地方都市での開催も視野に入れて検討すると言う。