日台関係研究会が「馬英九政権下の日台関係」と題し、講演

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浅野和生平成国際大学教授
浅野和生平成国際大学教授

毎月2回、定例研究会を何年もの間、継続している日台関係研究会は、6月8日、都内で講演会と懇親会を開催した。

この日は、台湾研究の第一人者のひとりでもある浅野和生平成国際大学教授が「馬英九政権下の日台関係~5年間の総括として」と題する講演を行った。

浅野教授は、1.馬英九総統と日本との出会い、2.馬英九総統と尖閣諸島、3.航空便、4.地方と地方の交流といった4つの切り口で約1時間30分、馬英九総統の5年間の政治活動と今日の日台関係の現状を分析してみせた。その上で、

「尖閣問題は馬英九総統(国民党政権)にとってはずっと日台関係のネガティブな課題だった。また、馬英九総統個人にとっても心の中にずっとわだかまりとして存在していた。しかし、4月10日に漁業協定が締結され、しかも馬英九総統が打ち出した東シナ海平和イニシアチブに日本側が歩み寄る形で(協定が)実ったことは、馬英九政権にとって、最大の懸案事項が解決を見た状態」

「5年の経過を振り返ると、(日台関係の変化は)3.11がターニング・ポイントになった。従来の日台関係は、李登輝元総統の存在と日本統治時代をベースにした日台人脈により作られてきたが、それが今回は普通の人たち同士の熱い横のつながりがベースとなった。普通の人々の確固たる絆が確認されたことで、政治もそれに乗り、結果、実務関係(協定)は、より一層、日台の強いつながりを背景に動き出した」

「今後、日台友好の関係を担っていくのは(日台の)地方と地方、中小企業やベンチャービジネス同士だ。地に足のついた日台相互の交流は非常に重要だ」

と、総括した。

一方、浅野教授は、この間の日本の政権と日台関係について次のように述べた。

「漁業交渉が途切れたのは、2009年の春。自民党政権の間は話し合いは続いていたが、民主党政権になって途切れた。鳩山内閣、菅内閣の時代は完全になくなり、しかし、2011年9月発足の野田政権になって動き出した。そして、安倍政権になり、昨年の12月には首相自ら漁業協定の早期解決を促した」

さて、オープンスカイ協定(2011年11月)の影響などで、日台の相互交流人口は昨年、300万人に限りなく迫り、長野県知事が台中市訪問、日光市長が台南市長を訪問、岐阜県美濃市と高雄市美濃区が友好交流協定締結、青森県知事が台北マラソン参加、群馬県と台中市が友好交流協定締結と日台の地方同士の関係は、新たな時代を迎えつつある。

馬英九政権の5年間は、結果として日台関係においては最良の結果をもたらしつつあるようだ。