経済部中小企業処は6月15日、台北市内で「日台中小企業医療及びデータサービス産業商談会」を実施した。高レベルな技術とサービスを持つ日本企業と、アジア諸国にネットワークを擁する台湾企業の交流の場とあって、会場には新たなビジネスチャンスを求める多くの参加者が集まった。
経済部中小企業処蘇文玲組長は挨拶の中で、中小企業処は二年前から日台中小企業の協力促進に取り組んでいることに言及し、「既に10億元規模の取引が行なわれている」とした上で、「不景気の中でいかに各国に利益を産み出し、台湾と日本の中小企業が共に発展できるか」、「台湾と日本の中小企業が協力し、第三国市場に進出したり、技術的な協力によって双方の中小企業がいっそう発展することを願っている」と述べ、商談会を通じての経済協力拡大に期待した。
医用工学研究所北岡義国代表取締役社長は、医療用情報管理システムを持ち込んで参加。既に中国河南省鄭州でシステムの輸出に取り組んでいるが、台湾を足がかりにさらなる発展を視野に入れていると言う。チャイナリスクに対しての憂慮はあるかと言う質問には「日本国内にいるだけの方がリスクだ」、「台湾で成功すれば、他の地域でも問題はないだろう」と答え、海外進出に積極的な姿勢を見せた。また、東海美商の美島二三夫代表取締役は、妊婦や幼児でも飲める安心安全で効果の高いコラーゲンを武器に参加。自身の体験談をユーモアたっぷりに披露して会場の注目を集め、その後の商談会では予定時間を大幅にオーバーするほどの活発な話し合いが行なわれていた。
ただ、日本の技術やサービスを海外輸出する際には、現地の人材やハード面もその技術やサービスを受け入れられる体制が整っていなければならない。個人や法人の海外進出をサポートする国際傑人教育基金会は医療方面での人材支援と育成に積極的だ。左保常夫理事長は、台湾、香港、中国大陸では、高レベルの医療従事者が圧倒的に不足している点を指摘。既に台湾の第一線で活躍している優秀な人材を次世代のリーダーとして日本の医療系専門学校に留学、育成させるプロジェクトを提案する。商談会でも、台湾と福建省福州で教育関係の交流プラットホームを展開している会社が訪れ、協力の可能性を探った。医療方面でのサービス拡大を視野に入れていると言うこの会社は、日本、台湾、中国の三ヶ国が繋がることで、情報や技術の交流が円滑に進めば、と話す。
中華亜太中小企業合作促進会周幸誼さんの話によれば、経済部主催の大規模な日台中小企業商談会は初めての試みだと言う。しかし台湾企業の反応は大きく、事前申し込みを上回る参加者が訪れていた。経済部は今後も日台中小企業の協力、交流促進を働きかけたいとしている。