2012年11月、東京で初めてWHOが推進する「科学の目」と「人のつながり」を活かした安全・安心まちづくりの国際認証制度、「セーフコミュニティ」の認証都市となった豊島区の高野之夫区長に、台湾との交流について話を聞いた。
Q豊島区の特徴は
A国際色豊かというよりアットホームな街です。外国の方からは、銀座のような敷居の高い整然とした大都会に比べ、池袋は親しみやすい街に映るのではないでしょうか。
Q外国人が多いが
A外国の方は大勢いらっしゃいますが、とくにアジア系の方々はこの街が大好きで。気軽なんでしょう。台湾の方も多いですよ。
Q台湾とのつながりは
A長年、お付き合いがある料理店の店長さんが台湾出身の方でして、その方が池袋を中心にして台湾の方がたくさんおられるから、台日文化交流という形で交流ができないかという話をされたものですから、池袋西口公園は駅の目の前ですし、賑わいの場でもありますから僕は大賛成でね、ぜひやりましょうと。
Q今年の4月に第二回台日文化交流が実施されたが
A池袋西口公園での台日文化交流は、昨年、1回目を実施し、今年で二回目。本当に大勢の方々が来てくれて超満員でした。台湾民族の様々な文化を踊りを含めて披露され、豊島区も太鼓や日本舞踊などいろいろな形で参加し、屋台も評判が良かったですね。お互いの文化を知る良い機会だと思います。これは他の地域ではできない豊島区ならではのイベントで抵抗もありません。年に1回はやろうということで三回、四回と続いていくのではないでしょうか。
Q安全・安心なまちづくりとは
A豊島区は早くから安全・安心な街を作りたいということで、これを究極の自治体の目標としてきました。都市に人が集まり、物が集まり、情報が集まるなかで事故や事件などが日常茶飯事に起こる。僕は池袋で生まれて育っていますから自分の街が安全・安心な街だと誇りを持てるようにしたいなと。そこでいろいろな情報のなかで、WHOの安全・安心な街の認証という形で、セーフコミュニティの認証を受けられたらすごいなと思いました。
Q認証の経緯について
AWHOの国際認証制度、「セーフコミュニティ」はハードルは高かったですね。申請すればくれるというものじゃない。宣言して2年間、取り組みについて絶えず報告しますし、いろいろな指導もあります。高齢者の安全だとか10項目についてつぶさに調べてデータを出さないといけない。それを基盤に課題をどう予防していくか、行政だけではできませんから区民に自覚をしていただかないといけませんし。
Q審査はどのように
A昨年の2月に現地審査がありました。その時に、3人の海外審査員が来日され、そのなかに台湾の白璐 (パイ・ル) 先生(セーフコミュニティ認証センター〈韓国〉公認コーディネータ・審査員)がおられました。聡明で厳しい先生です。パイ先生によると台湾はセーフコミュニティが進んだ国で70以上の認証を得ているとのことでした。それで豊島区が認証を得たらぜひセーフコミュニティの交流をしたいという申し出をされたわけです。
Q台湾視察について
A2012年の7月13日~15日まで台湾の文山区(台北市)を訪問させていただきました。丁寧にご説明をしていただき、これほど取り組みが素晴らしいのであるなら僕たちもお手本としてこれからも交流をしていきたいなと、そんな思いがしました。ですから昨年11月の第6回アジア地域セーフコミュニティ会議(認証式)の時には50人ほども来日されました。そこで台湾台北文山区とセーフコミュニティ友好都市協定を締結しました。
Q認証を受けたが
A豊島区は世界で296番目、国内では5番目のセーフコミュニティのメンバーとなりました。以後、多くの自治体が視察に訪れています。この認証は、ある基準をクリアしたからもらえるというものではなく、データに基づいて、継続的な予防活動に取り組んでいるか、その姿勢が常に評価され、5年に1回、再認証という形で更新されます。改善がなければ取り消しになります。そうした意味では認証取得はスタートラインであり、安全・安心のまちづくりはまだまだこれから目指す方向だと思います。