林雅行監督のドキュメンタリー映画「呉さんの包丁」が現在、全国で上映が行われている。こうしたなか、林監督の発案でユニークな上映会が都内で開催され、話題だ。
10月19日に錦糸町の台湾料理店「梅園」で、「呉さんの包丁」(※)を鑑賞しながらテレビでも紹介された「梅園」の特製「台湾鉄道弁当」を楽しむというイベント(2000円)が行われ、限定30人が参加した。
午前11時30分過ぎに「台湾料理」(小皿料理)と台湾鉄道弁当が配膳されるなか、林監督が挨拶。舞台となった金門を紹介しながら劉俊茂オーナーの「食事付上映会」への協力に感謝した。
次いで劉俊茂氏は、若いころ兵役で1年8ヵ月間、金門と並ぶ最前線でもあった媽祖島に派遣された体験を披露した。「媽祖に着いた時、死ぬかと思った。夕方から砲弾が頭の上を何時間も続けて飛んでいたんです」。
上映会は2時間。観客は食事を楽しみながら「呉さんの包丁」を熱心に鑑賞していた。
参加した50代の男性は「私は10年前に金門に旅行に行っていまして懐かしかったです。その時に砲弾で作る包丁の話を聞いて危なくないのかなと思っていましたが、謎が解けました。宣伝弾だったんですね」と述べていた。
林監督はこういう催しを今後も続けて行きたいと話していた。
※1958年8月23日、共産軍は対岸から450門の大砲で金門全域を砲撃。国民党軍も応戦(823砲戦)。共産軍は数週間に渡って50万発の砲弾を撃ち込んだ。その後、1978年まで双方の軍は宣伝弾を撃ち合っていた。呉さんは、この金門に残された宣伝弾で包丁を作る。