台日作家交流トークイベントで日本統治時代の台湾を語る

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「政治は人を別つが文学は人をまとめる」と語る陳芳明氏
「政治は人を別つが文学は人をまとめる」と語る陳芳明氏

台湾で金鼎奨を受賞した陳柔縉氏の話題作「日本統治時代の台湾 写真とエピソードで綴る1895~1945」が天野健太郎氏により日本語に翻訳され、出版されたことを記念した台日作家交流トークイベントが、文化部「跨域合創計畫」の一環として、“西荻窪・旅の本屋のまど”にて開催された。(会期:2014年9月5日、6日の2日間)

陳柔縉氏の話題作「日本統治時代の台湾 写真とエピソードで綴る1895~1945」
陳柔縉氏の話題作「日本統治時代の台湾 写真とエピソードで綴る1895~1945」

同イベント初日の5日は台湾から文学者・陳芳明氏、作家・甘耀明氏が招かれ、日本在住の作家・温又柔さん、作家・黒川創氏と共に「日本統治時代・台湾を日本語で書く、中国語で書く」をテーマに語り合い、参加者の日本統治時代文学についての理解を深めた。

会場は満員で立ち見の人もいた
会場は満員で立ち見の人もいた

陳氏はイベントの中で「文学作品を読むことで作者の魂に触れることが出来るのだ。日本統治時代を知らない若い世代は当時の文学作品を読み、日台双方の理解を深めていって欲しい。政治は人を別つが文学は人をまとめるのだ」と若い世代へのメッセージを語った。

陳氏によると、台湾では日本統治時代、日本語が国語として用いられていたため作家たちは非母国語で文学を記さなければならなかったという。そして戦後、統治から解放された台湾の作家たちは新しい国語である中国語を用いた。台湾の文学者たちはこうした世代別の言語の壁を乗り越えてきたというわけだ。

黒川氏は日本人からみた日本統治時代の台湾文学について「日本統治時代の台湾文学を読み返すと、当時の文学者らがいろいろな葛藤の中で生きて、そして記してきたという一種の面白さや、大変さも感じることができる」と述べていた。

日本人作家・黒川創氏
日本人作家・黒川創氏

また、6日のゲストであるジァーナリスト・野嶋剛氏も会場に足を運んでおり、「台湾は大きな歴史の変化を何度も経てきている。その変化がおきるたびに世代が断絶し、前の世代と次の世代の考えや言葉に大きなズレが生じてしまう。台湾人作家としてはこの問題を文学的にどう処理するかをいつも考えているのだろう。今の若者にとって複雑な歴史を知ることもちろん大切だが、それよりも日台間を何度も行き来することで、お互い理解を深めていくのが1番だと思う」と述べた。

「旅の本屋のまど」には台湾関連の書籍が数多く取り扱われていた
「旅の本屋のまど」には台湾関連の書籍が数多く取り扱われていた

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