「KANOを見てくださる日本の方には、エネルギーや感動、そして真正面からポジティブなメッセージを伝えたいと思っている。辛いときや決断を迫られるとき、KANOを思い出し、『決して諦めないというメッセージがあった』ということを思い出して頂ければと思う」(「KANO~1931海の向こうの甲子園~」プロデューサー・魏德聖)。
「この映画を通じて言いたいのはより多くの人に自分の過去を知ってほしいということ。今、未来にばかり目を向けがちだが、過去がいかに大事かをこの映画を通じて考えて頂ければと思う。どこにいても何をしていても、諦めずに続けるということを伝えたい。」(「KANO~1931海の向こうの甲子園~」監督・馬志翔)。
第9回大阪アジアン映画祭、第16回台北映画祭、第51回台湾金馬奨のいずれも「観客賞」を受賞した「KANO~1931海の向こうの甲子園~」は、台湾では史上初となるアンコール公開も催され、その興行収入は10億円を超えるなど、まさにメガヒットを記録した。その偉業を達成した本作品が日本に上陸する。新宿バルト9ほか、2015年1月24日より全国ロードショーとなる。これに先駆け、KANOの魏德聖プロデューサーと馬志翔監督が12月1日に来日し、ソニー乃木坂ビルにて日本メディアに対し記者会見を行った。
KANOは、「海角七号」や「セデック・バレ」で有名な監督兼脚本家の魏プロデューサーが、実話を基に製作した映画。1931年、台湾の日本統治時代に、日本人、台湾人、原住民で構成される弱小野球チームの嘉義農林学校野球部が、永瀬正敏演じる近藤兵太郎監督の指導により台湾代表として甲子園に出場し、決勝まで勝ち進んだという感動のストーリー。また、大沢たかお、坂井真紀といった大物日本人俳優を起用した事も話題を呼んでいる。
記者会見では日本のメディアから、海角七号やセデック・バレでは自ら監督を務めてきたが、なぜ今回は自ら監督をせず馬監督に託したのか、との質問に対し、魏プロデューサーは「とにかく映画を制作して仕上げることを第一に考えた。私は野球についてそんなに詳しくない。やはり野球に熱狂的に取り組める人が監督をやるべきだと思った。馬さんはかつて少年野球チームに所属していたことを知ったとき、やってくれるのではないかと思った。私は人間ドラマこそ撮れるが、野球のシーンは私が撮ったら寝てしまうのではないか?KANOはちゃんと映画にしたかったのだ」と冗談交じりで話した。一方、馬監督は「監督を任せてもらって、本当に嬉しかった。素晴らしいプレゼントを頂いたと思った。脚本を読んだとき、キーボードが涙で濡れてしまうくらい脚本に感動しきったのを覚えている。少年の頃に野球をしていた時の興奮が完全に蘇ってきたのだ」とコメントした。
会見後、魏プロデューサーは台湾新聞のインタビューに対し「台湾人、原住民、日本人とういう異なる民族でも協力し合えば素晴らしい結果を得ることが出来る。この物語は、日台間には過去に素晴らしいひと時があったという事、そして協力し合うという事はこんなに素晴らしい結果をもたらす事ができるという事が描かれています。日本の方々には、単なる『台湾映画』という認識ではなく、『過去に於いて日台が手を取り合って、素晴らしいことを成し遂げた歴史のひと時』という視点で見て欲しい。日本の皆さんもきっとKANOを気に入ってくれるだろう」と述べ、日本での全国公開に期待を示した。
「KANO~1931海の向こうの甲子園~」
-日本公開情報-
2015年1月24日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー
出演:永瀬正敏、坂井真紀、ツァオ・ヨウニン(曹佑寧)、大沢たかお
製作総指揮:ウェイ・ダーション(魏德聖)
監督:マー・ジーシャン(馬志翔)
脚本:ウェイ・ダーション(魏德聖)、チェン・チャウェイ(陳嘉蔚)
プロデューサー:ウェイ・ダーション(魏德聖)、ジミー・ホアン(黄志明)
主題歌:「風になって~勇者的浪漫~」Rake、中孝介、ファン・イーチェン(范逸臣)、スミン、ルオ・メイリン(羅美玲)
2014年/台湾/3時間5分/
原題:KANO
-ストーリー-
日本統治時代の台湾。台湾の日本人、台湾人、台湾原住民による嘉義農林学校の野球部に、新監督として日本人の近藤兵太郎が赴任。同チームは連敗続きの弱小チームだったが、近藤の鬼のようだが、愛のあるスパルタ式訓練で野球への情熱と勝利への強い思いが湧き上がる。そして1931年、台湾代表大会で優勝した彼らは甲子園の土を踏む。夏の甲子園で戦った嘉義農林チームの、一球たりとも諦めないプレイは、5万5千人の大観衆の胸を掴み、日本でも話題となった。