台湾の蔡英文総統が昨年、南アジア、オーストラリア、ニュージーランドを含めた18ヵ国に進出する「新南向政策」を発表した事により、台湾はASEAN(東南アジア諸国連合)との経済貿易、投資、民間交流、教育文化や相互友好交流を目標に掲げている。
そんな中、台湾貿易センター(以下:TAITRA)主催の「ASEANにおける日台ビジネスセミナー」が8月3日、KCCIホールで行われ、日本と連携する事がASEAN進出を図る上で重要であるとした。
TAITRA 市場開拓処専門委員の廖隆銘組長によると、ASEAN進出に際し、互いに重要な貿易パートナーである日本と台湾が協力し連携する事は大きなメリットがあるという。
廖組長は、台湾企業では2~3年前より、主にオートパーツと化粧品などの製品において、先ず台湾で部品を調達し、その部品を日本に持ち込み日本で製造、その後“日本ブランド”として東南アジア諸国に輸入するという動きがあると主張。これは日本には高品質なブランド力、企画力、製造力があるからだ。さらに、日本側としても、台湾の販路を利用する事で市場拡大のほか低コストなため、海外進出のリスク回避ができるとしている。
また、三菱総合研究所の田口友子さんは、日本側のメリットとして、台湾企業の大量生産能力の利用、さらに、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポールなどのASEAN諸国に約3500万人の華人と華僑が住んでいる事から、幅広いネットワークを活用する事で、現地企業や当局との高い交渉力が見込まれ、販売チャンネルの拡大が可能としている。
なお、三菱総合研究所は、経済産業省から受託されてより、台湾との東南アジア等第三国市場における産業協力の可能性調査を行い、日本企業と台湾企業が連携する事が、ASEANに進出する上での現状課題が解決したり、市場の拡大を目指す事が可能だとした。
一方、三菱総合研究所の陳瑧齢さんは、日本と台湾のみのメリットを考えるのではなく、第三か国のメリットも考えなければならないと強調。現地ニーズ把握や生産効率化、現地法規制に精通したプレーヤーとの関係構築も重要だとした。
同セミナーは、台北駐日経済文化代表処横浜分処の陳桎宏処長がTAITRAに委託して行われた催しであり、セミナーに出席した陳処長は「日台共同新商品開発や生産規模の拡大、また、リソースの共有においてグ、グローバル市場における競争力を一層強化するだけではなく、互いに補完して、さらなる商品を生み出す事が可能になる」と日台の連携プレーに期待した。
なお、台湾に本社を置くアドバンテックジャパン、UMEC JAPAN、TECO JAPAN、さらに、親会社が台湾である東京スター銀行がプレゼンテーションを行い自社のPRをし、日本企業へ事業協力を求めた。
セミナー終了後には日台企業ビジネス交流会も行われ、企業同士、相互理解を深め、産業提携商談の場となった。
(2017/8/4)