「台茶24号」が19年かけて育種に成功

0
台茶24号(写真提供:自由時報)

台湾行政院農業委員会の茶葉改良場は8月6日、台湾在来種を利用した品種「台茶24号」を会見で発表した。茶葉改良場の羅士凱副研究員によると、台湾で栽培される茶葉の多くは、中国大陸から導入した茶葉を利用して育種したもの。しかし、この「台茶24号」は19年の歳月を費やし、10人を超える研究者らがリレー方式で携わり、台湾在来種を使って育種に成功した。台湾南東部・台東県延平郷泰平の山間部で台湾の在来茶を調査し、マーキングの実施から始めた結果、30種類以上の在来茶を発見した。そのうち5種類を選び、さらに厳選して育種したのが「台茶24号」だった。

茶葉の品種「台茶24号」と、この茶葉を産出するチャノキ(茶の木)の品種「台東永康1号」は、これまで発表された「台茶シリーズ」の品種では唯一となる台湾在来種のヤマチャ(山茶)の茶葉とチャノキの品種であり、これにより、台湾在来種のヤマチャの歴史に新たな1ページを刻む事となった。

「台茶24号」は、その外観が台湾西部に生息するヤマチャと異なるほか、DNAの面から見ても異なるグループに属する。台湾原生ヤマチャの変種の一つとされ、氷河期時代から生き残る植物に属すると見られている。氷河期時代から生き残り、何らかの理由で陸封され、現在では限られた場所でのみ生息する台湾固有種のタイワンマスと似ていることから、台湾茶葉界の「タイワンマス」と称される。

発表会の様子(写真提供:自由時報)

さらに、茶葉改良場によると「台茶24号」は紅茶や緑茶への加工が可能で、特に紅茶に関しては、600グラム当たり2,000~4,000台湾元(約6,700~13,000日本円)の高値で販売される日月潭産の紅茶にも劣らない品質だという。日月潭産の紅茶がフローラル、フルーティな香りがするのに対し、「台茶24号」から加工した紅茶は、キノコやアーモンド、コーヒーといった独特の香りがすることから、地域の特色を打ち出した茶葉製品になると期待されている。なお、「台茶24号」から加工した緑茶は、さわやかなブンタンの香りが特徴だという。

また、「台茶24号」に含まれるカフェインは、茶葉100グラム当たりわずか2グラム。一般の台湾茶のカフェイン含有量(100グラム当たり2~4グラム)の中では、低含有量に属するため、お茶を飲むと眠れなくなる人などに適しているという。2年後の商品化も目指す。