台湾と日本で活躍する王清課、温志維、張文燦氏の三人の写真家が2月20日~25日の6日間、福岡アジア美術館で合同展覧会を開催し、好評を博した。九州台日文化交流会(本郷啓成会長)が主催し、台北駐福岡経済文化弁事処が共催、福岡市などが後援した。
台湾の全國写真団体聯合展覧審査員委員などを務める王清課氏は臺灣山岳/海岸/原住民などの作品をドイツで紹介するなど、世界的に活躍しているが、今回は「展望・美しい台湾」というテーマで、冠雪の荒々しい山岳、美しい夕焼けの海岸、雲海に埋まる山峰などの風景を中心に出品した。
高雄市生まれの温志維氏は、専門学校東京ビジュアルアーツ写真学科から大阪芸術大学写真学科に進み、現在は国立台中科技大学デザイン学科副教授の傍ら中華撮影教育学会理事を務めている。今回は「記憶の金門」をテーマに金門島の歴史と文化を掘り下げる作品を展示した。
張文燦氏は台中県に生まれ1985年に来日して大阪芸術大学写真学部を卒業、九州産業大学大学院芸術学部写真表現修士課程終了後日本に帰化。有限会社サンネットを設立して福岡市を中心に活躍し、福岡市立美術館、新宿ニコンサロン(東京)、韓国釜山gallery MASAなどで個展を開いている。今回は福岡市民の憩いの場である大濠公園の蓮の花を中心に「繋がってみよう」と題し、水と空とその間で繋がるものの連続的な風景を表現した。
初日には本郷啓成・九州台日文化交流会会長、陳忠正・駐福岡総領事のほか、台湾出身者や台湾を愛する日本の人々など、大勢が駆けつけて台湾の風景を懐かしんだり、身近な景色に新しい発見をしながら観賞した。
その後、イメージラボ写真教室の主宰者・奥 勝浩氏をゲストに招き、RKBラジオの村上幸子さんの司会でトークイベントが開催され、三人の作者が自分の作品に込めた思いを話すとともに、奥氏から王氏と温氏の強い色使いに比べて、張氏のそれが穏やかであることなど、三人の作風や色の使い方の違いについてのコメントがあった。
また温氏からは現在までのところ台湾には大学に写真学科がなく、写真を学ぶためにはデザイン学科の写真コース或いは市中の写真教室しかないことが述べられ、何とかしたいとの思いが伝えられた。
来場者の中には、何度も台湾を訪れたというアメリカ人の家族連れもあり、作家との対話が弾んだ。