台湾、中国が求めるWHO総会参加条件を拒否

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陳時中部長(写真提供:中央社)

台湾衛生福利部(陳時中部長)は5月15日、世界保健機関(WHO)の年次総会に台湾が参加する条件として、中国から「台湾が中国の一部である」という原則の受け入れを要求された事に対し「断固として拒否する」との考えを示した。台湾は2009年から2016年までの期間、オブザーバーとしてWHOの総会に参加していたが、対中強硬路線の蔡英文政権発足以降は参加が認められていなかった。

台湾は現在、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によるパンデミック(世界的大流行)の渦中において「WHO総会参加の緊急性が高まっている」と主張。目下、来週開催されるWHO年次総会にオブザーバーとして参加できるようロビー活動を行っている。感染防止に向け、今年1月20日に台湾中央感染症指揮センターを立ち上げ、防疫には世界に先駆け対策を講じており、米国や日本から高い評価を得ている。

中国側は、「一つの中国」の原則に基づき「台湾が中国領土の一部であると受け入れた場合に限り台湾は参加できる」と主張。中国外務省は5月14日、「台湾の与党民進党はこれを拒否し、WHO総会参加に向けた政治的土台はもはや消滅している」と指摘した。

一方、陳部長は記者会見で、「台湾が中国の一部であるという考えを受け入れることは決してない」とし、「そもそも存在しない事を受け入れる事はできない」と改めて主張。「WHO側からの招待はないが、総会参加への取り組みを諦める事はない」と力説した。

なお、台湾のWHO総会参加を巡っては、米国や日本は支持する考えを示している。WHOは、台湾を総会に招待するかどうかはWHOではなく「加盟国が決める問題」としている。