【台湾ニュース】淡江大学で「村上春樹国際シンポジウム」開催 日台の研究者が講演 村上文学を語る

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淡江大学で開かれた村上春樹国際シンポジウム(同大学村上春樹研究センター)

台湾の淡江大学(新北市淡水区)の村上春樹研究センターは6月17、18両日、同大学内で2023年第12回村上春樹国際学術シンポジウムを開催し、約220人が参加した。「村上春樹文学における『擬態』mimicry」をテーマに、日本からは名古屋外国語大学の亀山郁夫学長、北海道大学の中村三春教授、早稲田大学の森田典正教授ら日本文学の研究者が参加して講演した(一部はオンライン)。

歓迎のスピーチをする許副学長(淡江大学村上春樹研究センター提供)

主催者の発表によると、まずシンポジウムでは淡江大学の許輝煌・副校長(副学長)が参加者を歓迎するスピーチをして始まった。著名なロシア文学の研究者である亀山氏が「3.5次元のリアル―村上春樹とその『擬態』―」という題で講演し、日本とロシアの文学を比較して、村上春樹文学の特色を指摘した。

中村教授は、村上氏が今年4月に6年ぶりに発表した長編小説「街とその不確かな壁」を中心に、「擬態と虚構―『街とその不確かな壁』と村上春樹の物語」という題で村上文学の軌跡を読み解いた。森田教授は、「擬態の擬態;紋中紋(ミザナビーム=仏語で深遠な状態をつくり出すこと)としての村上春樹の世界文学」と題して世界文学の観点から村上春樹文学の価値を位置づけ、文学創作における「擬態」の重要性を強く主張した。

「シンポジウムで講演する中村教授」(淡江大学村上春樹センター提供)

 そのほか、台湾大学の范淑文教授、東呉大学の頼錦文特聘教授、タイで村上作品をタイ語に翻訳しているチュラロンコーン大学(バンコク)のマッタナー・チャトゥラセンパイロート講師らが、パネラーとしてメインテーマについての討論に参加し、見解を語った。

 次回の第13回シンポジウムについて来年2024年7月13、14日、早稲田大学で、村上春樹研究センターと早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)の共催で、「村上春樹文学におけるウェー・オブ・ライフ(way of life)」をテーマに開催すると発表された。

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