
高市早苗首相は9月17日、「第2次高市改造内閣」を発足させた。今回の内閣改造で注目すべきなのは、誰が入閣し、誰が退任したかだけではない。なぜこの時期に改造に踏み切ったのかという点である。
『日本経済新聞』が8月末に実施した世論調査によると、高市内閣の支持率は7月の58%から62%へと回復し、再び6割台に乗った。なかでも39歳以下の支持率は71%に達している。
つまり高市首相は、政権が低迷し、追い込まれて閣僚を入れ替えたのではない。支持率が下げ止まり、再び上昇に転じた時点で、自ら政権の態勢を立て直したのである。
今回の改造の第一の特徴は、「人は替えても、政権の軸は変えない」ことである。
茂木敏充外相、片山さつき財務相、小泉進次郎防衛相、木原稔官房長官に加え、赤沢亮正経産相、城内実経済財政相など、政権の中核を担う閣僚はそろって留任した。
高市首相は内閣改造によって表面的な「刷新感」を演出するのではなく、外交、安全保障、経済・財政政策の継続性を重視したとみられる。新内閣の基本方針でも、「責任ある積極財政」によって「強い経済」を実現する方針が改めて示され、政権の基本路線に変化がないことが明確になった。
第二に注目されるのは、日本維新の会が正式に入閣したことである。
維新の幹事長で、枚方市長、大阪府議員を務めた中司宏衆院議員が規制改革担当相に就任した。これによって、これまでの自民党と維新による「閣外協力」から一歩踏み込み、維新が内閣に加わって政権運営の責任をともに担う形となった。
今後、高市政権が消費税減税、社会保障改革、規制改革などの重要政策を進めるにあたり、自民、維新両党の関係も、単なる「協力」から、政策の実現に共同で責任を負う関係へと変わっていくことになる。
第三の焦点は、林芳正氏が内閣を離れたことである。
昨年の自民党総裁選で高市氏と争った有力政治家のうち、茂木氏と小泉氏が引き続き閣内にとどまる一方、林氏は総務相を退任した。
この人事によって、高市政権と党内有力者との力関係も改めて組み替えられることになる。これが次の自民党総裁選を見据えた人事なのかについては、日本のメディアでもさまざまな見方が出ているが、今後の党内情勢を見極める必要がある。
しかし、高い支持率を維持しているからといって、不安材料がないわけではない。
高市内閣は食料品の消費税率引き下げを進めようとしているが、その一方で、社会保障の財源への影響を心配する声も少なくない。
物価高対策を進めながら、社会保障の財源をどう確保し、さらに増大する防衛予算とどう両立させるのか。これこそが、改造内閣が直面する本当の課題である。
支持率の回復は、高市首相に内閣改造を行う政治的な余裕を与えた。しかし、国民が政権に与えたのは「時間」であって、「白紙委任状」ではない。
今回の内閣改造は、「選手交代」というよりも、政権の「態勢の立て直し」と見るべきだろう。政権の骨格は維持し、連立政権を一段と深め、政策の実行を加速させる。高市政権が今後、6割の支持を具体的な成果へとつなげられるかどうか。それによって今回の内閣改造が、単なる人事の組み替えに終わるのか、それとも高市政権が新たな段階へ進む出発点となるのかが問われることになる。 2026年9月19大田一博敬具













































