台湾人学生の進路事情 進学よりも就職

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大手就職サイト「yes123」が今年卒業見込みの学生に対して行なった調査によると、卒業後の進路を「就職」とした学生は89%に達し、昨年の71.4%から大幅に増加した。その一方で「進学など」は10.7%にとなり、昨年の28.6%よりも大幅減少となった。これは昨年の不景気が影響していると見られ、進学よりも就職を優先する学生が多くなったことが浮き彫りになった格好だ。

 

また、調査では24.8%の学生が就職活動の際に「給与」を重視すると回答する一方、希望する初任給については67.5%が「3万元以下(およそ9万6千円)でも構わない」としており、生活に必要な最低限の金額があれば、高収入は望まないという姿勢も明らかになった。また、企業の将来性を重視すると答えた学生も22.7%いた。

 

一方、雑誌「Cheers」の調査によると、今年卒業見込みの大学生及び大学院生に人気企業のアンケート調査を行なった結果、日本料理を中心にレストランチェーンを展開する「王品餐飲」が二年連続で一位となった。このほか、上位10位中、7社がサービス業で、台湾の若者は接客業に興味を持っていることが明らかとなった。

 

王品餐飲は「西堤牛排」や「陶板屋」などのレストランを展開する企業で、美味しさもさることながら、きめ細やかな接客にも定評がある。今年は3000人を募集する見込みで、そのうち1000人は幹部候補として募集し、初任給は3万1千元~3万3000元(約10万~10万7千円)と、台湾の給与としては高待遇が約束されている。これに対して製造業は半導体製造の台湾積体電路(tsmc)のみがランキング入りしており、日常生活で親しみがあり、比較的優良、高品質のイメージが強いサービス業に注目が集まっているとみられる。

 

台湾大学の法律系大学院に通う男子学生は「僕は研究が好きだから大学院に通っているけれど、台湾には大学院卒の人が活躍できる環境が整っていないと思う」、「実際に法律学科の大学院の願書提出者は年々減っている」と語った。また、淡江大学4年生の男子学生は「進学はしない。大学院を卒業しても、それに合った仕事が見付かるとは限らない」、「僕が学んでいるのは日本語学科だし、進学して研究しても就職に有利になるとは思わない」と話した。

 

また、中国科技大学商学部に通う学生は「大学院に進学するつもりだけど、言語か外交政策を学びたい。同級生はみんな就職するみたいだけど」と話し、高収入を求めて大学院進学希望者が多かった以前とは、状況が変わりつつあるようだ。

 

毎年9月から新年度が始まる台湾では、6月は卒業シーズン。男性には兵役の義務があるため、日本のように学生のうちから就職活動を始めることは少ないが、大学構内で就活イベントが行なわれることもあり、卒業後の進路を決める大切な時期となっている。

 

就活学生人気企業ランキング

1位 王品餐飲(レストラン経営)
2位 統一企業(食品大手)
3位 誠品(大型書店やギャラリーなどを経営)
4位 中華電信(通信大手)
5位 Google
6位 統一スターバックス
7位 台湾積体電路(半導体製造)
8位 エバー航空
9位 台湾無印良品
10位 チャイナエアライン