「東シナ海平和イニシアチブ」提言に市民団体が活路

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 日本周辺でにわかに緊張が高まっている釣魚台列島などの領土問題。台湾の馬英九総統は先の8月5日、日台友好の記念碑的な位置づけの台北賓館で開催された「日華平和条約発効60周年」関連式典の場で、問題解決に向けた「東シナ海平和イニシアチブ」と題する未来志向の提言を行った。

 日本はもとより世界の注目を集めたこの提言は、「対立行動の自制」「争いの棚上げ」「対話の継続」「国際法の遵守と武力行使の否定」のほか、「資源の共同開発」「行動規範の策定」と、建設的なものだった。

 以後、ますます緊迫の度を増す日本と周辺諸国との関係。解決の糸口が見えないなか、日本の市民団体が9月28日、「『領土問題』の悪循環を泊めよう!—日本の市民のアピール」と題する記者会見を開いた。

 市民団体によれば、「3月11日の東日本大震災の後、日本に同情と共感を寄せ、被災地に多大な支援と励ましをくれた台湾、中国、韓国ともに日本にとって重要な友邦であり、ともに地域で平和と繁栄を築いていくパートナーです」といった趣旨の緊急アピールを作成し、賛同者を募集。短期間に台湾、中国、韓国、カナダ、アメリカ、ドイツ、カンボジア、イタリアなど、外国に暮らす日本人から多くの支持の声が寄せられたという。また、国内では、市民に交じって大江健三郎、池田香代子、前田哲男、鎌田慧氏など、各界の著名人もアピールに署名。記者会見はこうした流れを受けてのものだった。

 東京・永田町参議院議員会館で開いた記者会見には、雑誌「世界」前編集長の岡本厚氏、「許すな!憲法改悪 市民連絡会」の高田健氏、弁護士の内田雅敏氏、元朝日新聞ソウル支局長の小田川興氏などが出席、緊急アピールを発表した。

 日本政府による国有化で領土問題がこじれるなか、台湾の馬英九総統が8月5日に発表した『東シナ海平和イニシアチブ』は、「対立をエスカレートさせない」「争いを棚上げして対話のチャンネルを放棄しない」とする内容が極めて冷静で合理的な提案であったと受け止められた。これに触発された市民団体がこの緊急アピールに踏み切ったきっかけと見られる。

 東アジア地域の平和を願う日本の市民団体は、“台湾”の提言に活路を見出そうとしている。