平渓天灯フェスティバル 20メートルの巨大天灯打ち上げ

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今年で15回目となる新北市天灯フェスティバルの第二幕が2月17日、新北市平渓中学校で開催された。特に今年は米CNNが「2013年に参加する価値のあるイベント」として紹介したことで国際的注目度も高まっており、この日は馬英九総統も参加し、15万人が元宵節の訪れを祝った。

 

平渓駅に進入する列車。
平渓駅に進入する列車。

 

天灯とは、東南アジアに多く見られる小型の熱気球で、台湾や中国南方地方ではもともと夜間において家族や集落の仲間に無事を知らせるための信号の役割を果たしていたと言われている。現在では天灯の上に願い事を書き、打ち上げることで、平安無事や学業や事業の成就などを願う風習となり、季節を問わず多くの人に親しまれている。

 

願い事を書いた天灯と一緒に記念写真を撮る観光客。
願い事を書いた天灯と一緒に記念写真を撮る観光客。

 

新北市の西部に位置する平渓は日本統治時代に炭鉱の町として栄えた山あいの町。戦後、炭鉱が閉鎖されたことで、かつての賑わいはなくなったが、軒下をかすめるように走るローカル列車と、趣きのある町並みが人気を集め、今では多くの観光客が訪れる町である。この地では清の時代から元宵節に集落住民の無事を天灯を使って伝えていたことから、天灯の製造業者が多く、1990年ころから、天灯の町として再び脚光を集めることとなった。

 

竹筒に願い事を書き込む絵馬のようなものが見られるのも平渓の特徴的な風景のひとつ。
竹筒に願い事を書き込む絵馬のようなものが見られるのも平渓の特徴的な風景のひとつ。

 

新北市政府の天灯フェスティバルは、旧正月から元宵節までの2月14日、17日、24日に一般から参加者を募集し、一度に200個の天灯を一斉に夜空へ打ち上げるイベントだ。オレンジ色の光を放つ天灯が夜空いっぱいに放たれる光景はまさに幻想的である。17日に行なわれた第二幕では、約30分毎に200個の天灯が打ち上げれられ、その度に会場からはため息まじりの大きな歓声が沸き起こった。香港から友人2人と遊びに来たという女性は「とても美しく、とても楽しい」と興奮した様子で感想を語った。

 

一斉に打ち上げられる天灯。
一斉に打ち上げられる天灯。

 

また、午後6時半ごろには馬英九総統と朱立倫新北市長も会場に駆けつけ、高さ20メートルの巨大天灯を打ち上げた。「I LOVE TW」の模様がデザインされ、「モザイク天灯」と命名されたこの巨大天灯には、一般市民から募集した願い事が書かれた色紙が貼り付けられており、馬英九総統は毛筆で「小龍迎春,景氣升溫,幸福滿門(蛇年迎春、景気回復、幸福到来)」と書き入れた。この巨大天灯も、200個の天灯と一緒に夜空に打ち上げられ、西南の方角へ飛び立った。

 

このイベントの第三幕は今年初めての満月となる24日の元宵節当日に、場所を十分天灯広場に移して行なわれ、午後6時から10時ころまで幻想的な天灯の光が満天の夜空を包み込む。