「在心中希望的種子」被災者・佐藤貞一さん~3.11の感謝の気持ちを込めて訪台~

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記念撮影(写真提供:はなそう基金)
記念撮影(写真提供:はなそう基金)

 

岩手県陸前高田市の津波被災者であり、「佐藤たね屋」(種苗業)の経営をしている佐藤貞一さん(60才)は6月20日から22日の3日間で台湾を訪問し、震災後の支援への御礼として中国語で講演会を行った。はなそう基金(代表理事:古森 剛)と日台若者交流会(代表:安西 直紀)が協力して後押し、実現した。

これに至る経緯としては、2011年12月、佐藤さんは“時折訪れる外国からの来訪者に英語でメッセージを伝えたい”という想いで、はなそう基金が開催する「Komo’s英語音読会@陸前高田」に参加。そして震災から1周年となる2012年3月、はなそう基金の活動会員の協力のもと、英語による震災体験手記「The Seed of Hope in the Heart」を完成させた。津波被災者が自作の英文で世界に向けて情報発信をするという、稀有な試みを成し遂げた。また、2012年6月には、次に芽生えた“震災後いち早くかけつけ経済面でも多大なる支援を行った台湾の人々に御礼の言葉を伝えたい”という想いから、英文で書いた同手記を、中国語で書き直した「在心中希望的種子」が完成。その次のステップとして実際に台湾現地を訪問してメッセージを伝えるという運びとなった。

講演の様子。写真右が佐藤さん、写真左がはなそう基金の古森さん。
講演の様子。写真右が佐藤さん、写真左がはなそう基金の古森さん。(写真提供:はなそう基金)

佐藤さんは英語も中国語も最初は初心者レベル。たったの半年で英語、及び中国語の震災体験手記をほぼ自力で完成させたのだ。この度の講演会に向けても佐藤さんはひたすら音読に励み、訪台直前の段階で周りが驚くほどの上達を魅せたという。

講演会に参加した台湾人は、現在の被災地の状況に非常に関心をもっており、みな熱心に佐藤さんの話に耳を傾け、公演後の質疑応答では時間切れになるまで質問が飛び交い、講演会は大成功を収めた。佐藤さん更なる挑戦に期待がもたれる。

黙とうする佐藤さん(写真提供:はなそう基金)
黙とうする佐藤さん(写真提供:はなそう基金)

「自分一人で来たわけではない、陸前高田の震災犠牲者2000人の魂を背負ってきたのだ、頑張らなければ。ピンイン、四声など知らぬ。津波で被った艱難辛苦、是にくらべれば、無学の中国語で御挨拶、何も怖くはない。中文を書き、津波最前線の地で、幾度となく思い出し、涙し、音読してきた。今回、震災の衝撃を思いを込めて伝えた。言葉ではない、気持ちだ。下手な中国語だが、被災者自ら、台湾のご支援に対し日本人として御礼を申し上げた。その意は少しでも伝わったようだ」(佐藤貞一さん)

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