没20年を迎えたテレサ・テン、3D映像で鮮やかに蘇る

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アジアの歌姫テレサ・テンが3Dホログラムで蘇った©矢部志保
アジアの歌姫テレサ・テンが3Dホログラムでコンサート©矢部志保

台湾、日本のみならずアジア全土で愛された歌姫のテレサ・テン(鄧麗君)は今年の5月8日で亡くなって20年を迎えた。これをうけ、テレサへの追悼の意を込めたコンサート「テレサ・テン(鄧麗君)メモリアルコンサート〜没20年追悼チャリティ音楽会〜」が5月23日、渋谷公会堂にて行われた。

会場に飾られた写真家の加納典明が撮ったテレサの写真
会場に飾られた写真家の加納典明が撮ったテレサの写真

会場には日本はもちろん、台湾や香港、中国大陸などから多くのファンが訪れ、昼の部と夜の部を合わせて約4000人を動員する盛大なコンサートとなった。

会場を待つ来場者で長蛇の列が出来ていた
会場を待つ来場者の長蛇の列

同コンサートの目玉は3Dホログラムという技術を使った立体映像によるテレサ本人の出演だ。渋谷公会堂で同技術を使った公演はこれが初めて。テレサの兄であり鄧麗君文教基金会理事長の鄧長富さんによると、今回の3Dホログラムはアメリカで制作され、制作費は400万米ドル(日本円で約4億8千万円)かかったという。3Dのテレサは、代表作である「我只在乎你(時の流れに身をまかせ)」と「月亮代表我的心」を中国語で歌い、まるで蘇ったかのようなリアルな姿を魅せた。なかには感動で涙を流すファンもいた。

3Dで蘇ったテレサ・テン©矢部志保
3Dで蘇ったテレサ・テン©矢部志保

また、司会は德光和夫さんが務め、演歌歌手の五木ひろしさん、内田あかりさん、伍代夏子さん、長山洋子さん、田川寿美さん、沖縄出身歌手の夏川りみさんのほか、中国人出身歌手のエンレイさん、王静さん、陳佳さんと、いずれもテレサを慕う歌手が出演。それぞれが生前のテレサが残した名曲を熱唱し、フィナーレでは3Dのテレサを囲み、共演した。
スペシャルゲストとして出演した五木さんは、一昨年から2年連続で台湾公演を行っており、「台湾で披露し、現地の方々にとても喜んでもらえた」という「月亮代表我的心」を中国語で歌い上げたほか、五木さんの歌「そして…めぐり逢い」を生前のテレサの歌声と共にデュエットした。同デュエットについて五木さんは、「『2人でいつかデュエットしよう』と約束し、話しを進めていた矢先、テレサが突然亡くなってしまったため実現出来なかった。しかし、生前のテレサがアルバムの中で『そして…めぐり逢い』を歌ってくれていることを知り、このほどレコーディングをし直してデュエットを実現させた。約束を叶えることが出来た」というエピソードを話した。
さらに同コンサートには、トークゲストとしてテレサの代表曲「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」などの作詞を手がけた作詞家の荒木とよひささんが出演し、徳光さん、五木さんと共にテレサへの想いなどを熱く語った。荒木さんは「テレサは私の人生を変えた人。テレサに会っていなければこの仕事はしてなかった」と述べたほか、先日フィギュアスケートの浅田真央選手が「時の流れに身をまかせ」を聞き現役復帰を決断したことについては「うれしかったですね」と感激した。
同コンサートを見たファンたちは「テレサが大好きです。今日は感激で胸がいっぱいです」(50代日本人女性)、「超感動!母が大好きで私も好きになりました。先日テレサさんのお墓参りにもいってきました」(10代中国人留学生)、「是非香港でもやってほしい」(40代香港人女性)と興奮気味にコメントしていた。

テレサの写真を撮るファンたち
テレサの写真を撮るファンたち
生前着ていたテレサの衣装も飾られていた
生前着ていたテレサの衣装も飾られていた

関係者ら、テレサへの想い寄せる

同コンサートの昼の部の直前には、渋谷公会堂2階フロアにてオープニングセレモニーが催され、テレサの兄の鄧さんや、テレサを日本でデビューさせ、「日本のお父さん」とも言われた元トーラスレコード社長、現鄧麗君文教基金会理事の舟木稔さん、台北駐日経済代表処の陳調和副代表、渋谷公会堂の新井映夫所長、ジャーナリストで現参議院の有田芳生議員、チャイナエアライン日本支社の石炳煌支社長らが出席し、同コンサート開催を祝った。

オープニングセレモニーにて。左から参議院の有田芳生議員、テレサの「日本の父」とも呼ばれた舟木稔さん、台北駐日経済文化代表処の陳調和副代表、テレサ兄の鄧長富さん、台湾文化センターの朱文清センター長
オープニングセレモニーにて。左から参議院の有田芳生議員、テレサの「日本の父」とも呼ばれた舟木稔さん、台北駐日経済文化代表処の陳調和副代表、テレサ兄の鄧長富さん、台湾文化センターの朱文清センター長
オープニングセレモニーの様子
オープニングセレモニーの様子

鄧さんは「日本でこのようなコンサートを開催できて嬉しく思う。今後もテレサの歌声をきっかに日台交流が一層深くなることを期待している」と述べたほか、「渋谷公会堂は今年の10月に一時閉館し立て直されると聞いたが、再出発の際は是非テレサの全3Dホログラムコンサートを開催出来ればと思う」と期待を語った。また、鄧さんによると、今後は中国や香港、東南アジアでもテレサのツアーを行う予定があるという。

テレサの兄であり鄧麗君文教基金会理事長の鄧長富さん
テレサの兄であり鄧麗君文教基金会理事長の鄧長富さん

舟木さんも昼の部終了後、「テレサへの想いは非常に深いものがある。3Dで蘇ったテレサを見た時は涙がでた。テレサの優しさと思いやりの気持ちを全世界の人に伝えていきたい」と改めてテレサへ想いを寄せた。

「日本のお父さん」とも言われた元トーラスレコード社長、現鄧麗君文教基金会理事の舟木稔さん
「日本のお父さん」とも言われた元トーラスレコード社長、現鄧麗君文教基金会理事の舟木稔さん

世界の平和を願い歌うことを続けた台湾の歌姫、テレサ・テンはこれからも、アジアそして世界中で愛され続けるのだろう。

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