国際漫画賞で台湾人男性漫画家2人が優秀賞授賞の快挙

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外務省が海外で漫画文化の普及に貢献する漫画作家を顕彰するべく開催されている第9回国際漫画賞の受賞者がこのほど発表され、台湾の男性漫画家2人が優秀賞を授賞した。

優秀賞を受賞した「怕魚的男人(魚を恐れる男)」の李隆杰さん(右2)と、「無名歌vol.1」の搖滾貓ROCKAT(右3)
優秀賞を受賞した「怕魚的男人(魚を恐れる男)」の李隆杰さん(右2)と、「無名歌vol.1」の搖滾貓ROCKAT(右3)

46の国・地域から応募された259作品の中から優秀賞に選ばれたのは、1人の男がいかにして「魚類恐怖症」に対抗するのかというテーマの作品「怕魚的男人(魚を恐れる男)」で応募した李隆杰さんと、人気バンドのボーカルの心情をノスタルジックに描いた作品「無名歌vol.1」で応募した搖滾貓ROCKAT(ヤオグンマオロキャット、本名:簡振傑)さんだ。とりわけ搖滾貓ROCKATさんは処女作での授賞という快挙を成し遂げた。

李隆杰さんの作品「怕魚的男人(魚を恐れる男)」
李隆杰さんの作品「怕魚的男人(魚を恐れる男)」
搖滾貓ROCKATさんの作品「無名歌vol.1」
搖滾貓ROCKATさんの作品「無名歌vol.1」

2月26日には授賞式及びレセプションが外務省飯倉公館で行われ、他の受賞者らと共に台湾の2人も出席。受賞者にはそれぞれ賞状とトロフィーが進呈された。

搖滾貓ROCKATさんは授賞式後、「今回は処女作での授賞でした。今後もっと努力して漫画を描き、より良い作品を作り上げたい。新しい作品が出来たらまた応募したい」と漫画制作に対して更なる意欲を語った。

処女作で優秀賞を獲得した搖滾貓ROCKATさん
処女作で優秀賞を獲得した搖滾貓ROCKATさん

国際漫画賞審査委員会の委員長を務めた漫画家の里中満智子さんは、搖滾貓ROCKATの作品について、「無名歌vol.1は、挫折や反発を繰り返しながら、地道に生きていくことを馬鹿馬鹿しいと思っていた若い頃、そして、失くした物を愛おしむ、疲れた自分が誠実に描かれていて感動した。1960年代や1970年代の懐かしい雰囲気が蘇り、私も郷愁に浸りながら若い頃の自分を思い出した。若い作者が書いたとは思えない雰囲気が出ていて素晴らしかった」と絶賛した。

また、李さんの作品については、「セリフなしでも主人公の感情が伝わってくる面白い作品だった。人間の生理的なところを鋭く突いていて、誰が見てもわかりやすく、画面の隅々まで誠実にきちんと描こうという作者の努力が伝わってきた」と高く評価した。

これに対し李さんは、「私は過去に3回、国際漫画賞に応募し落選している。4回目の応募でついに優秀賞を頂くことができ、とても嬉しく思う。私は長年に渡って日本の漫画文化の影響を強く受けたクリエーターだ。今回、国際漫画賞の評価を得て、日台文化交流の架け橋の一部になれたことは、間違いなく今後の原動力になった」とコメントした。

挨拶する李隆杰さん
挨拶する李隆杰さん

国際漫画賞の選考は、「コミック出版社の会」による第一選考を経て、同漫画賞審査委員会の厳正な審査により行われたもの。このほどの受賞は最優秀賞1作品、優秀賞3作品、入賞14作品で、優秀賞を受賞した3人中2人が台湾人だった。また、台湾人としては、張思雅さんと陳永紳さんの共同作品「女王桃樂絲(クイーンドロシー)」も入賞していた。(2016/03/09)

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