台湾、「一番好きな国は日本」!~世論調査で過去最高値更新~

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日本の対台湾窓口機関である交流協会(沼田幹夫代表)は7月18日、今回で5回目になる「台湾における対日世論調査(2015年度)」を日本語と中国語で発表。「一番好きな国は日本」と回答した台湾人が半数以上の56%に上り断トツの1位となった。

調査で「一番好きな国は日本」と回答した全体比率の56%という数字は、2012年の同じ質問の調査結果の43%より13%高く、さらに過去最高だった2009年度調査の52%をも上回り、記録を更新している。年齢別にみても、64歳以下の全ての年齢層で50%を超えており、これまでの調査で最高となった。第2位の中国(6%)や 、3位の米国(5%)を大きく引き離しての結果だ。

また、「今後台湾が最も親しくすべき国(地域)」の問いでも、日本を挙げた人は39%で最多。これまでの調査で2位だった日本は今回、2位の中国(22%)を追い越し、初めて首位となった。なお、「日本に親しみを感じるか」の質問を見てみても、2012年の同質問で「親しみを感じる」と答えたのが65%だったのに対し、今回は80%の台湾人が「親しみを感じる」と回答している。今回の世論調査により、現在、日台関係は過去最高の状況であると証明されたものと見られる。

 

 

各界からみた世論調査の結果

日本人にとって嬉しい調査結果となった今回の調査。これについては、日台に関係する各界からも多くの声が寄せられた。

日台関係に詳しい平成国際大学の浅野和生教授は、「順位も比率も、前回と大きな変化は無い。パーセンテージは過去最高かもしれないが、今までの延長線上である」とした上で、「2012年の調査時は東日本大震災の直後で、日台の震災時の助け合いを再確認した事などが起因した結果だと言われていた。その後も、台南地震や熊本地震など、相互に災害時の協力は継続されてきた。この協力体制の確認を通じて、日本に好感をもってくれているのでは」と分析。さらにもう1つの理由としては、「蔡英文政権の誕生に対して、安倍晋三首相本人、岸田文雄外相、菅義偉官房長官らが公式発言などで祝意を述べた事で、台湾に対する日本政府の公式の対応が台湾人に伝わり、それがかさ上げに繋がったとも考えられる。今後、日台関係が良くなる事はあっても、悪くなる事は無いだろう」と話した。

世論調査についてコメントした浅野和生教授
世論調査についてコメントした浅野和生教授

 

震災時の支援でも日台の絆は深まっている
震災時の支援でも日台の絆は深まっている

また、50年に渡り日台関係推進に大きな貢献をしてきた日台スポーツ文化推進協会の松本彧彦理事長は、「今回の結果はとても喜ばしいこと」としたほか、「日本のどの分野に興味があるか」、「日本のどこに魅力を感じるか」、「日台間の文化交流で、今後積極的に取り組むべき分野はどれか」、「日台青少年交流について、どの分野を特促進すべきか」の問いに対して、スポーツ分野が伸び悩んでいる点については、「これからの課題だろう。さらにやらなければならない事も当然ある。とりあえずここで弾みをつけるいい機会になっただろう」と語った。

「日台にはまだまだ課題もある」と語った松本彧彦理事長
「日台にはまだまだ課題もある」と語った松本彧彦理事長

このほか、ジャーナリストで日本統治時代の台湾をめぐる歴史的エピソードを掘り起こす仕事を続けている陳柔縉さんは、「このほどの結果には、個人の経験が大きく起因している」と主張。「戦前も戦後も関係なく、台湾人の1人1人には少なからず日本と関わりがある。そして、人と人の関わりやビジネス、観光など様々な経験を通じて、日本が好きだという今回の結果が出たと思う。台湾では、日本についての嫌な部分を聞く方が難しい」と話した。

一般の意見として、日本で就職した彼女を持つ台湾在住、台北の寧夏夜市で働く台湾人男性(30歳)にこの結果について聞くと、「台湾と日本の関係はこの数年で出来た訳ではなく、以前から台湾人の日本に対する感情はとてもいい。なぜなら、距離的な近さも関係し、直接行きやすく、日本に行けば多くの文化的交流を経験できる。近隣諸国には中国と韓国もあるが、この2国に対する台湾人のイメージはあまり良いものではない。それもあり、日本に対する好感度は逆にどんどん上がっていくのだろう」と話した。どうやら日台関係は直接触れ合い交流し、お互いに経験をしてく事で実質的な強い絆が生まれ、このほどの結果に繋がったようだ。

今回実施された世論調査は、台湾の一般の人々の日本に対する印象と感想、さらに交流協会が今後日本文化関係の分野における活動の参考とするために、交流協会がニールセン社に委託し、2016年1月15日~2月2日にかけて約1000人を対象に実施したもの。「台湾を除き、あなたの最も好きな国(地域)はどこですか」など29の質問に、性別、年齢(20代、30代、40代、50~64、65~80歳までの5区分)、地域(北部、中部、南部、東部の4区分)、婚姻状況、最終学歴(中卒或いはそれ以下~大学院或いはそれ以上の4区分)、仕事の状況、世帯月収などに分けて調査した。ただし、発表は性別、年齢、地域、最終学歴。調査方式としては、40歳未満にはインターネット調査、40歳以上には電話を使用し、調査地域は全台湾とされた。

なお、調査は2015年度に実施したため、タイトルは「2015年度対日世論調査」とされた。

 

 

2016年上期、日台間往来旅行客数は約311万人

 

このたび交流協会が行った「台湾における対日世論調査(2015年度)」の結果では、日本にもっとも魅力を感じる分野で「観光」が77%で1位となった。また、旅行に行くなら日本と回答した人は42%に上り、その比率は2012年と比較して4%増加した。この結果から、現在、日台間の相互往来も盛んに行われている。

交通部観光局および台湾観光協会が発表した観光統計によると、2016年上半期(1月~6月)に日台間を往来した旅行客数の累計は310万9892人。また、2016年上期(1月~6月)に台湾を訪れた外国人旅行客数の累計543万1503人のうち、日本からの旅行客数の累計は87万9873人で、前年同期比17.87%増。日本人旅行客は、外国人旅行客全体の約16%を占め、中国大陸からの旅行客を除くと最も多かった。

さらに、日本観光庁の田村明比古長官が7月20日に記者会見で発表した統計によると、今年上期(1~6月)で台湾からの訪日客数は中国、韓国に次ぐ第3位で、延べ215万5800人となり、昨年上半期の台湾人訪日客数約179万人を大きく上回っている。

いったい日台交流の伸びしろはどこまで続いていくのだろうか。いずれにせよ、日本と台湾の友好関係は、他に例のない唯一無二のものだという事に異論はないだろう。