湾生からなる基隆会に基隆市長が初出席、「私たちは家族です」

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第20回目を迎えた関東地区基隆会が盛大に開催
第20回目を迎えた関東地区基隆会が盛大に開催

台湾の港町・基隆出身の湾生(1895~1946年に台湾で生まれた日本人)からなる関東地区基隆会は7月20日、ホテル・グランドアーク半蔵門で第20回目となる基隆会を開催した。会場には基隆市の林右昌市長と夫人、息子2人も参加し、湾生のメンバーたちと交流した。毎年日本で海の日に因んで行われる同会に基隆市長自らが来日し、参加するのはこれが初めて。

現役の基隆市長として初めて同会に参加した林右昌市長
現役の基隆市長として初めて同会に参加した林右昌市長

林市長の参加は、今年の6月25日に基隆で行われた基隆開港130年記念大会にて女優兼エッセイストで、台湾に精通している一青妙さんと出会い、一青さんから基隆会を紹介された事がきっかけだという。そして同会開催を知り、どうしても参加したいという林市長の思いから、このたびプライベートの旅行の合間を縫って参加するに至った。

林市長(右3)が同会に参加するきっかけは一青妙さん(左2)の紹介がきっかけだった
林市長(右3)が同会に参加するきっかけは一青妙さん(左2)の紹介がきっかけだった

林市長はあいさつで、「こんなにも基隆を愛し、思い続ける湾生の方々がいる事を知り、心より感動しました。こんなに長い間基隆を想ってくれてありがとうございます」と話しほか、「基隆は日本と台湾をつなぐヘソのような場所です。基隆には日台に関する様々なストーリーがあります。しかし、基隆は十数年前から日本時代の多くの建物が壊されてしまって、綺麗な建造物やその記憶が無くなってしまった」と述べた。その上で、「私が市長になる前に二沙湾と三沙湾が壊されてしまう企画があったが、私が市長になってからはそこを保存することにしました。蔡英文政権の最も重要なプロジェクトの中にも、歴史的に重要な場所を復元するというものがあり、基隆では、大沙湾、二沙湾、三沙湾を歴史的に復元するべき場所として指定しています」と現在の基隆の現状を紹介した。

1テーブルづつ廻り、湾生のメンバーたちと交流する林市長
1テーブルづつ廻り、湾生のメンバーたちと交流する林市長

さらに、「私には、繁栄した時代の基隆と、その基隆のプライドを取り戻すこと、そして新たな未来に向かって発信力のある都市として成長させるという歴史的使命があります。よりよい基隆にしていくよう努力するので、皆さん体力が許す限り、是非基隆に訪れてください。私たちは家族です。大歓迎します」と語り、基隆市民に配ったという紅包や当時の基隆が詳細に書かれている地図、夫人が手作りしたというプレゼントなどを湾生のメンバーに手渡した。

当時の基隆が詳細に書かれている地図を基隆会に贈呈
当時の基隆が詳細に書かれている地図を基隆会に贈呈

同会事務局の武石道男さんによると、以前は関東地区の基隆出身者のみで構成されていた同会も、現在では地域別・湾生の会が高齢化などを原因に激減している現状を受け、異なる地区出身の湾生や、その他台湾に関わる人など誰でも歓迎しているという。また、来賓として参加した台湾協会・新任理事長の森田高光氏によると、地域別の湾生で結成された会で現在残っているのは同会のみであり、最大の湾生の会といっても過言ではないとの事だった。

当時の資料などをみて懐かしむ姿も
当時の資料などをみて懐かしむ姿も

今回の林市長の参加を受けて同会代表の渡辺行忠さん(92歳)は、「今回の基隆会ほど内容のある回は無かった。基隆で生まれた人間として感激しています」と話したほか、「これからの日台関係は心配していません。心配しなくてもずっと友好関係は続くでしょう」と話し、笑顔を見せた。

同会代表の渡辺行忠さん
同会代表の渡辺行忠さん