蔡英文総統がエルサルバドル共和国の国交断絶について談話を発表

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蔡英文総統は21日、中華民国(台湾)とエルサルバドル共和国の国交断絶について重要な談話を発表した。写真は記者会見の模様。(総統府)

蔡英文総統は8月21日、中華民国(台湾)とエルサルバドル共和国の国交断絶について談話を発表した。以下全文

国際社会の一員として、台湾は世界に立脚し、世界へ歩き出す権利がある。2,300万人の台湾住民は、他国の国民と同様、平等と自由、独立した主権と尊厳を享受する権利を持つ。これは私たちの立場であり、世界の普遍的な公理でもある。私たちはさきほど、エルサルバドル共和国との国交断絶を決めた。そのような動きがあるという情報は、すでに把握していた。その後、私たちはできる限りの手を尽くした。外交的努力もしたし、国際社会における友好国にも支援を求め、エルサルバドルが台湾と中国の外交合戦の戦場になることを回避しようと試みた。しかし残念なことに、中国政府は一歩も譲る気配を見せず、再三にわたって圧力を加えてきた。そして、エルサルバドルとの断交をもって、世界へ向かって歩き出そうとする台湾住民の意欲を削ごうとしてきた。国交断絶は決して単独の事件ではない。これらはいずれも、中国政府による一連の「文攻武嚇」(言葉で攻撃し、武力で威嚇する)」の一部だ。中国の最新鋭戦闘機による台湾周辺の飛行、海外の航空会社に対する「台湾」表記の変更要求、台中市が開催権を得ていた2019年東アジアユースゲームズの開催取消し、そして最近の「85度℃事件(=蔡総統が中南米外遊の途中、米国にある台湾資本のコーヒーチェーン店85度℃に立ち寄ったことで、中国のネットユーザーが85度℃の不買運動を呼びかけた事件)など、中国による圧力は一貫して変わらず、また各方面に及んでいる。現在の中国は、台湾海峡両岸の平和にとって脅威であるだけでない。中国が現在、世界各地で行っていることは、各国の内政への干渉であれ、国際市場秩序の破壊であれ、いずれも世界情勢を極度の不安定に陥らせるものだ。私たちはこの場を借りて、再び国際社会に呼びかけたい。これは台湾だけのことではない。事態は切迫している。もはや一刻の猶予も許されない。眼前に横たわる事実は、現在の台湾海峡両岸関係がすでに台湾と中国の間の問題ではなく、この地域の問題の一部となっていることを示している。アジア地域に対する中国の野心は、従来の力関係で成り立っていた国際秩序に立ち向かい、ひいてはそれに取って代わろうとするものである。それに加え、中国と米国の貿易摩擦は日々複雑さを増している。中国は、台湾への圧力を強めることで、この地域における影響力と実力を浮き彫りにしようとしているのだ。台湾の主権に対する中国の圧力は、以前とは比べようがないほどになっている。私は皆さんに伝えたい。こんにち、中国が付きつけている要求や行為は、いずれも台湾の各主要政党の許容範囲を超えるものだ。いま必要なのは、互いの対中国政策を比較することではない。一致団結し、力を合わせて主権に関する共通の最低ラインを守ることだ。中華民国(台湾)の名による外交関係が破壊されることは、私たちが共通に持つ最低ラインに対する挑戦だ。私たちの国交樹立国に圧力を加え、中華民国(台湾)と断交することを、中国との国交樹立の前提とすることは、わが国の主権を侵犯することだ。
中華民国(台湾)は現状であり、現段階における最大公約数であり、それは台湾住民の団結の基礎でもある。私たちが団結してこそ、中国に対して明確なメッセージを送ることができる。彼らが台湾住民の最低条件を見誤ったり、台湾の政党間や政治家の間の対立を深めたりできるといった、まぐれを期待することがないように。過去2年間、台湾住民は世界に証明してきた。台湾人が脅威に直面したからといって、自由と民主主義を放棄したり、国際社会への貢献を断念したりはしないということを。私たちはこれからも、同じ理念を持つ国々の力を借りて、制御を失いつつある中国の国際行為に共同で対抗していく。そしてわが国と国交関係を持つ国々に対しても、中華民国(台湾)との長い友好関係と、私たちがこれらの国々の発展に着実に貢献しているという事実を大切にするよう呼び掛けたい。この場を借りて再度強調したい。圧力を受ければ受けるほど、団結しなければならない。圧力を受ければ受けるほど、より外へ向かって歩き出す必要がある。昨晩(20日)、台湾桃園国際空港で談話を発表したように、台湾が圧力に屈することはない。私たちはより団結し、より強くなり、そして台湾を国際社会に押し出すという決意を、より強くするだろう。これまで中国の圧力を受けても、私たちが屈することはなかった。これからも、私たちは一致団結することによって、数々の困難を克服していくだろう。